NEWSポストセブン 2023.05.26 07:00
https://www.news-postseven.com/archives/20230526_1872854.html?DETAIL
 
暴力団組織において、スマホアプリの利用について組員に注意を促す資料が配られているという。
週刊ポストは複数の組織が作成した資料を入手。そこからは暴力団の警戒の高さと苦況が窺えた。

様々なアプリの登場により、電車に乗ったり、モノを購入したりとスマホは日常生活には必要不可欠な存在になっている。それは暴力団にとっても同様だ。
しかし、暴排条例によって企業は反社会的勢力との取引を禁じられているため、スマホの契約は当然のこと、こうしたアプリをインストールして使用することも「アウト」になる。  

ある有名暴力団の傘下組織が組員に向けて作った資料には〈暴力団 反社 約款のあるアプリ〉というタイトルがつけられている。  

そこには○○ペイなどの電子決済サービス、クーポン券が配布されるドラッグストアや外食チェーン、ファストファッション、フリマサイトから天気・ニュース配信などアプリ計17種の名が記載されていた。
その下には〈備考〉として〈お金を使ったり、値引きやポイントを貰う使用したり、電子マネー交換その用なアプリは約款がある可能性があります〉(原文ママ)と、この17種のアプリ以外にも“漏れ”がある可能性も高いとして、アプリの使用に注意を促している。  

一方、次のページには、約款に暴排条項が記載されていなかったり、あったとしても〈ゆるい〉と判断を下している6つのアプリもあげられている。
こちらにはディスカウントストアやコンビニのポイントアプリ、クレジットカード、動画配信サービスなどの名前があげられている。  

別の組織が作成した同様の資料を入手でも、日常生活で使いがちなアプリで、暴排条項があるアプリが記載されている。
ページの下部には〈※上記以外多数該当 『アプリ 反社 約款』で検索〉と、赤文字で目立つように書かれている。  

さらに丁寧に、「アプリの名前を知らずに使っている」というような組員のためにか、名前だけでなくアプリのアイコン写真を記載して〈反社規約あり〉〈反社規約なし〉と書いているページもある。強い警戒が窺える。

いったいなぜ暴力団はこのタイミングでスマホの使い方に注意を促し始めたのか。六代目山口組の関係者はこう語る。

「今年に入って六代目山口組はETCの不正利用で4人の幹部が相次いで逮捕されている。いずれも他人名義のETCカードを利用したことで、正規料金との差額を騙し取ったという容疑だ。
昨秋以降、山口組分裂抗争は表立った抗争が起きておらず、警察も不穏に感じているんだろう。幹部を逮捕したのも抗争や組織の内情についての情報を引き出す目的があるはずだ。  
警察がETCの次に狙い撃ちしてくるとみているのが、こうしたスマホアプリの利用。
先日もマイナンバーのポイント還元欲しさに電子決済サービスに登録したことで六代目山口組の組員が捕まるなど、誰がいつ捕まってもおかしくない状況にある。
とはいえ、シノギ(ヤクザの経済活動)のためにもスマホを持たないなんてことはできない。そのため、暴力団全体で警戒しようということで、こうした紙が配られているんだろう」

暴力団のなかには表だった抗議をする組員も現れている。
5月17日、六代目山口組系の50代幹部が、ETCパーソナルカード(クレジットカードを持っていない人でもETCが使えるサービス)の会員資格を取り消されたことについて、「公共性の高いインフラから暴力団関係者を排除するのは不合理な差別で、公序良俗に反する」と主張し提訴したことが報じられた。


※続きはリンク先で


【画像】
17個のアプリに警戒を促している
https://tadaup.jp/2608153698.jpg

制作者の独断による「ゆるい」アプリ
https://tadaup.jp/2608261626.jpg

丁寧にアプリのアイコン(黒塗り部分)も記載
https://tadaup.jp/2608200342.jpg