29日午前の外国為替市場で円は対ドルで下落し、一時1ドル=140円台後半を付けた。2022年11月以来、半年ぶりの円安・ドル高水準。米債務上限問題が解決方向に向かい、投資家のリスク心理が改善。米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げの可能性が高まり、日米金利差の拡大も意識したドル買い・円売りの動きが広がっている。

29日午前は、バイデン米大統領と米連邦議会のマッカーシー下院議長が米政府債務の法定上限を引き上げることで基本合意した後では初めての市場取引となる。円相場は朝方に140円80銭台まで下落した。前週は140円60銭前後で取引を終えていた。

米国債のデフォルト(債務不履行)のリスクが低くなったことで、米経済の先行きを巡る不透明感が和らいだ。円は投資家がリスクを取る姿勢を強めた際には売られやすい性質があるため円安・ドル高が進んだ。

市場では債務上限を巡る交渉結果がFRBの利上げ姿勢にも影響するとの声が多かった。米国債のデフォルトで米経済が大きな混乱に陥るという可能性が低くなったことで、FRBがインフレ鎮圧を優先して追加利上げをしやくなったとの見方がある。日米金利差は拡大方向に動きやすくなるため、ドル買い・円売りの動きが目立った。

日本経済新聞 2023年5月29日 8:03
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB281SV0Y3A520C2000000/