東北活性化研究センターは、福島を除く東北5県と新潟県の買い物困難者が2025年に最多の82万5000人となり、45年の時点でも76万6000人に上るとの推計を発表した。45年には、全198市町村で総人口に占める買い物困難者の割合が高まり、3割を超える自治体も現れるとし、支援サービスの在り方を検討するよう呼びかける。

支援サービスの導入課題
 居住地から500メートル以内に食料品店がなく、自動車を利用できない65歳以上を「困難者」と定義。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計と、農林水産省の食料品アクセス困難人口推計を基に算出した。

 市町村別の将来人口推計がない福島を除く東北5県と新潟県の買い物困難者数の推計はグラフの通り。

 65歳以上人口がピークを迎える25年に最多となった後、徐々に減少していくとみられるが、県庁所在市などの都市部では45年にかけて増加が見込まれる。仙台市は15年比2万9000人増の8万7000人、新潟市は1万2000人増の5万4000人になると予想される。

 人口に占める買い物困難者の割合別の市町村数は表の通り。45年に全198市町村で15年に比べて割合が上昇し、青森県今別、外ケ浜、深浦3町では3割を超えるとみられる。

 活性研は、既に買い物難民対策に乗り出した山形市など全国11カ所の成功事例を調べた。「住民ニーズや地域実態をよく把握する」「対策サービスの導入の目的が明確」といった共通点を見いだした。山形市ではヤマザワと提携したスタッフが、軽トラックで集落を回り、商品を販売する移動スーパー事業を展開する。

 加藤雄一郎主任研究員は「東北や新潟では交通インフラの縮小や商店街の廃業が進んでいる。買い物困難者の割合の増加が予想され、課題解決に向けた支援サービスの導入、普及が喫緊の課題だ」と指摘する。

河北新報 2023年5月30日 6:00
https://kahoku.news/articles/20230529khn000026.html