自民党の杉田水脈衆院議員によるインターネット上の発言などで名誉を傷つけられたとして、大阪大の牟田和恵名誉教授ら研究者4人が計1100万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。清水響裁判長は4人の訴えを退けた一審判決を一部変更、牟田氏に対する33万円の賠償支払いを杉田氏に命じた。残る3人の控訴は棄却した。

 判決によると、牟田氏らは2014~17年度、フェミニズムに関する研究で科学研究費補助金を受給し、論文発表のほか、シンポジウムを開催するなどした。杉田氏はツイッターで「税金を反日活動に使われることに納得いかない」と批判するなどした。

 判決で清水裁判長は、批判に関しては杉田氏の意見、論評の表明の一部だとして、違法性を否定。一方、研究対象期間が終わった後にも科研費を使ったとする発言は「社会的評価を低下させるものだ」と判断し、動画サイト上で名指しされた牟田氏について賠償を認めた。
 杉田氏の事務所は「大部分の主張が認められた。認められなかった点は今後精査する」とのコメントを出した。

時事通信 2023年05月30日18時51分
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