「春を告げる魚」と呼ばれるコウナゴの今年の漁獲量が、2年ぶりにゼロとなった。コウナゴは近年、記録的な不漁が続いており、漁師らは不安を募らせる。

 今年は4月3日に解禁され、約20隻の漁船が操業したが、水揚げの兆しがなく、予定より3週間早く同月28日で終了した。宮城県石巻市の漁師(44)は「どうせだめだと思って船も出さなかった。こんな状況は想像もしていなかった」と嘆く。

 県水産技術総合センター(石巻市)によると、2001年に約9500トンの水揚げがあったが、徐々に減少して19年はわずか27トンとなり、20、21年は2年連続でゼロを記録した。22年も35トンにとどまった。植物プランクトンなどを含む親潮の勢いが弱まり、宮城県沖まで南下しなかったことで、コウナゴに栄養が行き渡らなかった可能性があるという。

 同センターの担当者は「回復には継続的に親潮が南下する必要があり、単年での回復は難しい」としている。

読売新聞オンライン
2023/06/09 17:09
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230607-OYT1T50088/