性的少数者トイレ利用の指針変更に抗議 差別解消に取り組む市民団体が岩手県の表彰を辞退

 岩手県の性的少数者に関する職員向けガイドラインの表記変更を巡る問題で、男女共同参画の推進に貢献したとして県から表彰を受ける予定だった団体が、県への抗議として表彰を辞退していたことが分かった。団体は「当事者の声を聞き、変更を撤回してほしい」と訴えている。

 表彰を辞退したのは、性的少数者への差別解消に取り組む市民団体「いわてレインボーマーチ」。多様な性の尊重を訴えるパレードや啓発イベントを開催してきた功績が評価され、県の「いわて男女共同参画社会づくり表彰」を12日に受ける予定だった。

 団体によると、8日に「(ガイドラインの記述を元に)戻せないのであれば表彰を辞退したい」との意向を県に伝えた。県はすぐに結論を出すのは難しいとして、辞退を了承したという。県は「諸事情で表彰を見送った」と説明する。

 共同代表の山本ゆき子さん(54)は「当事者がさらに生きづらくなる変更ではないか。県には県民が性的少数者の知識を得られる機会をつくり、多様な性の在り方を尊重する社会を推進してほしい」と訴える。

 県は「ガイドラインの修正については今後、団体とも協議を重ねたい」としている。

 職員向けガイドラインを巡っては、性的少数者のトイレ利用に関し、当事者以外から苦情が出た場合「苦情を出された方に理解を求めましょう」とした記述に一部で批判が起きた。

 県は5月、「お互いに理解し配慮し合いましょう」と変更。ガイドライン監修者らから「性的少数者の実情を理解していない」と抗議の声が上がっている。

河北新報 2023年6月19日 6:00
https://kahoku.news/articles/20230618khn000012.html