【ワシントン=大内清】米国の大学の入学選考で黒人などの人種的少数派を優遇するアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)を巡り、米連邦最高裁は29日、選考で人種を考慮することは憲法の定める「法の下での平等」に反するとの判断を下した。公民権運動が拡大した1960年代以降、人種差別解消に向けて導入された取り組みは転換点を迎えた。

アファーマティブ・アクションは、歴史的に差別を受けてきた少数派が教育や就業機会を得られていない状況を是正するため、入学選考や採用活動で少数派の優遇枠を設けるなどの取り組み。民主党などのリベラル層には黒人の地位向上や、大学や企業の多様性確保に貢献したと評価される半面、共和党の支持基盤である保守層からは「白人への逆差別」「能力が正当に評価されないのは不公平」などと批判されてきた。

裁判では、こうした差別是正措置が、人種や肌の色、出身国などに基づく差別を禁じた公民権法(1964年)に違反しているかどうかなどが争点となった。

保守層にとり今回の違憲判断は、最高裁が昨年6月に、人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた73年の判例を覆したのに続く大きな勝利。最高裁の構成は共和党のトランプ前政権で保守派優位が確立した経緯があるだけに、2024年大統領選での返り咲きを狙うトランプ前大統領にとっては、同党候補者指名争いでの追い風となる。

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