毎日新聞 7/5(水) 10:09

森泰夫被告
 東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)に問われた組織委員会大会運営局元次長、森泰夫被告(56)は5日、東京地裁(安永健次裁判長)で開かれた初公判で、受注調整への関与を認めた。広告最大手の電通グループ(東京都港区)をはじめ、法人6社と個人7人が起訴された一連の事件で公判が始まるのは初めて。平和の祭典の裏で進められたとされる談合の実態はどこまで明らかになるか。

 電通の他に起訴されたのは、法人が博報堂(同)、東急エージェンシー(同)の広告2社と、フジクリエイティブコーポレーション(江東区)、セレスポ(豊島区)、セイムトゥー(千代田区)のイベント運営3社。個人は森元次長の他に法人6社の五輪担当役員ら6人。広告大手のADKホールディングス(港区)は公正取引委員会に最初に談合を自主申告して「課徴金減免制度」(リーニエンシー)に基づき訴追を免れた。

 起訴状などによると、元次長は各社の幹部らと共謀し、2018年2~7月ごろ、組織委が会場ごとに発注した五輪テスト大会の計画立案業務の競争入札で、落札予定者を事前に決定するなど、互いの競争を制限したとされる。落札者はその後のテスト大会、本大会の運営業務も特命随意契約で受注できる仕組みだったとされ、検察側は計画立案業務(計約5億3000万円)と、430億円規模とされる運営業務のいずれも談合の対象とした。

 関係者によると、元次長は組織委に多数の社員を出向させていた電通側と情報を交換して各社の応札希望をまとめた一覧表を作成。計画立案業務の落札結果はほぼ一覧表の通りだった上、大半は入札参加企業が1社のみの「1社応札」だった。元次長は各社の幹部と個別に面談し、落札見込みを事前に伝えていたなどとされる。

 企業側は電通などが起訴内容を認める一方、セレスポなどは談合を否定し、対応が割れている。いずれも初公判の期日は指定されていない。【斎藤文太郎、松尾知典、岩本桜】

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