熊本県荒尾市と福岡県大牟田市にまたがる三池炭鉱専用鉄道で石炭の積み出しに使われていた電気機関車2両の一般公開が8日、荒尾市の万田坑で始まった。鉄道ファンらがデモ走行を見守った。

 車両は1917年製の20トン車と37年製の45トン車で、20トン車はバッテリーで現在も稼働する。97年の閉山後も大牟田市の三井化学が使用していたが2020年に引退。荒尾市が譲り受けた。

 市は世界文化遺産の万田坑の選炭場跡にレールや屋根を整備し、展示施設とした。炭鉱が稼働していた頃の様子を思い起こさせる配置という。

 テープカットの後、浅田敏彦市長や三井化学の淡輪敏会長らがあいさつ。保存を呼びかけたNPO法人「炭鉱電車保存会」の藤原義弘理事長は「立て坑やぐらをバックに電車が並ぶ景色はかけがえのない景色。末永く大事にしてほしい」と謝辞を述べた。

 デモ走行では、20トン電車が警笛を鳴らして滑らかに動く姿が披露され、見学者らが拍手を送った。(大倉尚隆)

熊本日日新聞 | 2023年7月9日 08:34
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