「真っ赤なクワガタのような虫を見つけました」と、福井県おおい町の男性(64)から福井新聞の「ふくい特報班」(通称・ふく特)に写真が届いた。大きな黒いあごを持ち、光沢ある真っ赤な体は3センチ前後。調べてみると、クワガタではなく毒を持つツチハンミョウの仲間で、専門家は「かっこいいからといって触らないで」と注意を呼びかける。九州などから徐々に北上して生息域を広げ、県内ではまだ学術的には正式に確認されていない昆虫だという。

 福井市自然史博物館の昆虫担当の梅村信哉学芸員に写真を見てもらうと「ヒラズゲンセイです」と即答。生きた姿は梅村さんもまだ見たことがないらしい。

 「ヒラズ」は頭が平らという意味で、「ゲンセイ」(芫菁)はツチハンミョウ科の甲虫の総称。つまり「頭が平らなツチハンミョウ」だそうだ。

 脚から出す体液には、漢方薬にもなる成分カンタリジンが含まれ、人の皮膚に付くと水ぶくれやかぶれを引き起こす。「夏休みに昆虫採集などで見つけても、不用意に触らないように」と梅村さんは指摘する。

 ヒラズゲンセイの生息域を調べている大阪市立自然史博物館の藤江隼平学芸員によると元々、九州や四国など南の方に生息していたが、北上し徐々に生息域を広げているという。2017年にはおおい町と接する京都府南丹市で確認されたほか、滋賀県南部の市町でも確認されている。

 藤江さんは「やっぱり福井県にも生息していたか」と感想を口にし、梅村さんも「嶺南にいてもおかしくはない。とうとう来たな」。梅村さんによれば、福井県内での確認報告や標本は出ていないものの、今回の投稿者のように実物を見た人はいるだろうとみる。「毒を持つ虫なので、あまり分布が拡大してほしくはないが、県内の分布状況は知っておきたい」と、調査に意欲を見せている。

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