下野新聞 7/21(金) 17:27

山姥切国広
 安土桃山時代の刀工・堀川国広(ほりかわくにひろ)が足利領主の依頼で鍛えた名刀「山姥切(やまんばぎり)国広」(国重要文化財)について、栃木県足利市と外郭団体の足利市民文化財団は21日、所有者から3億円で購入すると発表した。購入額のうち2億円は同財団が資産から捻出し、1億円は市がクラウドファンディング(CF)などで募る。本年度中に売買契約を締結し、購入後は同財団が所有する。来年度末ごろには展覧会を開催する方針という。

 購入を巡っては昨年、所有者が市に譲渡する意向を示したことを受け、市が検討していた。「足利の歴史文化を語る上で欠くことのできない重要な史料。ゆかりの文化財を後世に守り伝えることが使命」と判断した。

 購入に当たり、市は刀剣有識者5人による評価委員会を設置し、購入の意義や資産価値について意見を聴いた。「国宝級であり、経済波及効果なども加味すれば、3億円が妥当」との評価を受けたという。

 市は「ゆかりの足利で大切に保管され、この地で多くの人に見て頂くことが、この刀にとって1番良いと思い、託すことにした」との所有者のメッセージも公表した。

 購入に向けて市は来月、「山姥切国広縷縷(るる)プロジェクト」を立ち上げ、9月1日からクラウドファンディングなどの募集を開始する。早川尚秀(はやかわなおひで)市長は「大きな喜びと重責を感じている。足利の歴史の新たな一ページとなるよう、応援をお願いしたい」と呼びかけた。

 同財団は国広が作刀した脇差し「布袋国広」(国重要美術品)を所蔵している。笠原健一(かさはらけんいち)代表理事は「山姥切と大小2振を一緒に守り伝える機会を頂いたことは奇跡」と述べた。

 山姥切は長さ70・6センチ、反り2・8センチ。1590年、足利長尾氏6代目当主顕長(あきなが)が国広に命じて作らせた。刀剣を題材にしたオンラインゲーム「刀剣の乱舞」で人気を博し、市内で2017年と22年に開催した展覧会には計6万3千人が来場した。22年の展覧会終了後、温湿度が管理され、耐火防犯体制が整った市内の施設で保管されている。

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