ゴミ屋敷の背景に潜む発達障害と「ゴミ屋敷チルドレン」が抱える苦難。「私はお母さんみたいになりたくない。だから絶対に彼氏をつくったり、結婚はしない」

集英社オンライン 7/28(金) 11:02

発達障害アンダーグラウンド#6
数年前までテレビのニュースでは、「ゴミ屋敷とそれに困る近隣住民」の特集が面白おかしく取り上げられてていたが、最近はとんと見なくなった。その理由が「発達障害」にあることを知っているだろうか。

ゴミ屋敷ができる理由
これまで「ゴミ屋敷」関連のニュースは、切り口がだいたい決まっていた。家の外にまであふれ出したゴミ屋敷があり、モザイクがかけられた住人が現れる。そこにキャスターがマイクを向けてこう尋ねる。

「なぜゴミを片付けないのですか。近所への迷惑は考えないのですか」

すると住人は支離滅裂な主張をしたり、大声を上げて追い払おうとしたりする。このようにゴミ屋敷を扱うニュースは、どちらかといえば、ゴミ屋敷の住人を揶揄するような内容だった。

ところが、関係者や当事者の側から、ゴミ屋敷の住人には発達障害があるのではないかと指摘する声が上がりはじめた。集中力が散漫になることで、家を清潔に保つことができないのだ、と。

実際、かつて私が取材した50代の女性がそうだった。これまで彼女は高齢の母親と2人で暮らしていたが、母親が脳梗塞で施設に入ったのがきっかけとなり、1人で自宅を維持しなければならなくなった。

しかし、彼女にはADHDがあり、何かをしようとしても集中力がつづかず、途中で投げ出して別のことをはじめる傾向があった。調理をしている最中に、急に思い立ってエアコンの掃除をしようと分解しはじめ、その途中に今度はスーパーへサングラスを買いに行き、帰りに牛丼を買ってくる。
それなのに、家に着いた途端にサングラスと牛丼を床に置いたまま、新聞の切り抜きをはじめる……。そんなことをくり返す中で、家には物が散乱し、やがてゴミ屋敷となっていったのだ。

近所の人の通報によって、この家に自治体の職員が訪れ、何度か面談を行った。だが、彼女は相手の気持ちや思いを想像するのが苦手で、「施設にいるお母さんに話してくれないと困る」とか「ぜんぶ必要なものだからとやかく言わないで」などと言うだけで、話し合いは平行線をたどった。自治体のほうも強制的に片づけをさせることはできないので、結局そのままになってしまった――。

断っておくが、ADHDだからといってすべての人が片づけができないわけではない。また、発達障害以外にもゴミ屋敷になる理由はある。ただ、彼女のような特性に加えて周囲からの支援が受けられないなどした場合、そうなることがあるということだ。

いずれにしても、テレビのニュースなどからゴミ屋敷を扱う特集が激減したのは、そうした背景があるためだ。下手に取り上げると、人権問題に発展する可能性があるとして避けるようになっていったのである。

「ゴミ屋敷チルドレン」と呼ばれる子供たち
しかし、メディアがいくら報道を控えたところで、こうしたゴミ屋敷がなくなるわけではない。外からわかるようなゴミ屋敷だけでなく、ドアを開けてみると玄関からベランダまで物が散らばっていて足の踏み場がない家もある。

多くの場合、本人はさほどゴミ屋敷であることを気にしていない。ゴミの中で普通に過ごすことができるのだ。だが、彼らに家族――特に子供がいた場合は、事情が異なる。あまり注目されないが、「ゴミ屋敷チルドレン」と呼ばれるような子供たちは一定数存在するのだ。

そんな1人が近藤明音(仮)だ。明音の両親はともに発達障害があったそうだ。父親はあまり家に帰ってこず、たまに姿を現したと思ったら意味不明のことを言いつづけるようなタイプで、母親はしょっちゅう体調が悪いと言って寝室にこもっていた。

※全文・詳細はリンク先で
https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/52eb5538b469ee3fee57b371cd6e1f130e92852d&preview=auto