パナソニックホールディングス(HD)は31日、HD傘下で車載や産業向けに液晶パネルを生産していたパナソニック液晶ディスプレイ(PLD、兵庫県姫路市)を解散すると発表した。液晶を生産していた姫路工場は現在、パナソニックHDが保有し、工場の一部を電気自動車(EV)向け電池の生産拠点として活用している。パナHDのEV電池シフトがより鮮明になってきた。

PLDの解散に伴い、パナソニックHDは既に引き当て済みの貸付金5800億円の債権を放棄する。これにより会計上の法人税などの負担が1213億円減るため、2024年3月期の連結純利益(国際会計基準)を上方修正し、前期比73%増の4600億円になる見通しだとした。従来予想から1100億円の上方修正となり過去最高を更新する。売上高や営業利益は従来予想を据え置いた。

パナソニック(当時)は06年から液晶パネル生産に乗りだし、姫路工場では10年にテレビ向けの生産を始めた。ただ韓台中のメーカーとの価格競争が激化し、採算が悪化。生産を姫路工場に集約し、生産品目を自動車や産業向けに転換した。立て直しが遅れた姫路工場も19年に生産終了を決め、事業を在庫販売のみに縮小していた。

プラズマディスプレーなど薄型パネル事業の不振により、パナソニックは12年3月期、13年3月期と2期連続の最終赤字に陥った。過剰投資の象徴ともいえる事業だ。長年にわたり重荷となってきたパネル事業の整理を終え、成長が見込まれるEV向け電池の生産拡大に経営資源を集中させることになる。EV向け電池でも中韓勢との投資競争が激しさを増しており、今後の投資判断にも注目が集まる。

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