短慮の強行で、国民の不安を招く。体面を優先して過ちを認めず、迷走を重ねる。「マイナ保険証」への移行をめぐる政府の対応は、国民の健康を守る制度をもてあそんでいるようにしか見えない。

 岸田首相が昨夕記者会見し、健康保険証を、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証に移行する方針について改めて説明した。来年秋としている現行保険証の廃止時期について、実行中の総点検作業の状況を見定めて判断すると述べた。

 一方で、マイナ保険証を持たない人に交付予定の「資格確認書」の運用を拡大する意向も表明した。従来は1年としていた有効期限を最長5年に延ばす。該当者には申請を待たずに一律に交付し、形状も現行保険証を踏まえたものにするという。

 実現すれば、実質的に今の保険証と大きく変わらない内容にになる。結構な話のようだが、それならばどうして、今の保険証の廃止にこだわるのか。なぜ、新しい仕組みづくりに手間とお金を掛けるのか。納得できる説明はない。

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朝日新聞 2023年8月5日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S15709196.html