ウクライナ戦争はロシア軍の攻勢が始まり最終局面を迎えている。

 半面、ウクライナ軍を支援してきた米軍はじめNATO(北大西洋条約機構)は装備と弾薬が枯渇しかかっており、北東アジア有事の米軍の支援能力にも制約を及ぼしている。

■ 反転攻勢失敗とロシア軍の本格攻勢開始

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 6月22日にプーチン大統領は、「ウクライナの攻勢は止まった。ウクライナ軍はこれまでに、戦車234両と装甲車約678両を失った」と述べている。

 これに対し同日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は攻勢について、「うまくいっていないが、何としても成功させる」と表明している。

 また同日、ウクライナ軍のマリャル国防次官は、戦況に変化はないと、事実上反転攻勢が進展していないことを認めている。

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 ロシア軍の停滞を突いて7月1日頃から、ウクライナ軍は主として南部ザポリージャ正面とバフムト南北で攻勢を再度試みた。

 しかし、ウクライナ軍の攻勢はバフムト南部では局地的な地域奪還を果たしたものの、その他の正面ではロシア軍の陣地線と火力、増援部隊により再び頓挫した。

 これに対し、ロシア軍は東部ドンバス北部地区に約11万人の兵力と900両の戦車を集中して7月中旬から本格的な攻勢を開始した。

 この北部からの攻勢については、ロシア軍としては異例だが、ショイグ国防相自らが、この攻勢開始を公表している。

 ロシア軍がこの攻勢に力を注いでいたことを示唆している。

 その他の正面ではロシア軍は堅固な陣地線とそれに連接した障害帯と火力により、ウクライナ軍の攻勢を阻止し、その多くを撃破している。

 このため、7月16日にプーチン大統領は、ウクライナのロシア軍防衛網を突破しようとする試みはすべて失敗したと語っている。

 米軍関係者によれば、この時点でウクライナ軍攻勢戦力は半減し、約10個旅団、3~3.5万人にまで減少したとみられている。

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 7月26日以降の、東部ドンバスのリマン正面におけるロシア軍戦車軍の攻撃停止、バフムトからのウクライナ軍撤退、南部戦線の戦闘膠着など、双方の軍事作戦がほぼ同時に全正面で一時的に停滞しているのは、ロシアとウクライナ間で密かに停戦交渉が進められている兆候かもしれない。

■ 米国の支援能力の限界と弱体化した米軍

 このように、地上戦の帰趨はロシア軍の圧倒的優位で推移しているが、その最大の原因は、前述した弾量と装備密度の差にある。

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 スコット・リッター退役米海兵隊大佐は、弾薬等は今夏末には尽きると警告していたが、今年7月米軍関係者も「長くてもあと3か月」しか持たないと認めている。

 またジョー・バイデン大統領自らも弾薬不足を認めており、米国は日本の防衛省にも弾薬の増産を要請している。

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 既に、ウクライナ側が地上戦において優位に立ち全土を奪還できる見通しはほぼなくなっている。

 今後ウクライナ軍が戦闘を続けても、人的物的損害を増やし支配領域を失う結果に終わるとみられる。

 一刻も早く停戦交渉に応じるのが、ウクライナとしてもNATOとしても賢明と言えよう。

■ 中国に祖国統一の好機、備えのない日本

 米国は弾薬・装備の不足から、台湾向けのHIMARS、各種ミサイル・弾薬などをウクライナに転用している。

 このため、台湾有事や尖閣有事が発生しても、米国は兵員はもちろん、装備も弾薬も台湾にも日本にも送る余裕はないという状況が今後1年程度は続くと見なければならない。

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 台湾総統選挙の結果、親中派の総統が選出され、両岸関係が政治的平和統一に向かう可能性もある。

 そうなれば、台湾に向けられていた中国の軍事的圧力は尖閣・沖縄に集中することになる。

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 ウクライナ戦争支援で米国の弾薬・装備が底を尽き、選挙で内向きになる来年が最も危機の年となる可能性が高い。

 しかもその際に、まず狙われるのが、最も備えのない尖閣、さらには尖閣を直接支える地政学的歴史的地位にありながら、琉球独立論の宣伝など分断工作が進む沖縄となることは十分にありうる。

 沖縄の馬毛島からは旧石器時代の遺跡が出土し、沖縄の言語、習俗、信仰などには縄文期以来の日本文化の源流がいまも伝えられている。

 沖縄は紛れもなく日本の一部であり、むしろ日本文化の本家本元でもある。(以下ソース)

8/3(木) 6:02配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/a34d1578705ce1a2f50c3e8e10aa07581a0f4648