東芝は7日、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした国内連合が8日からTOB(株式公開買い付け)を始めると発表した。TOB価格は4620円。全株取得を目指している。成立すれば東芝は上場廃止となり、74年間の上場の歴史はいったん幕を閉じる。

約2兆円での買収にはJIPのほか国内20社超が出資し、メガバンクなどが融資する。これまでロームが3000億円、オリックスが2000億円、日本特殊陶業が500億円を拠出することを発表している。

東芝は15年に不正会計問題が明らかになった。16年末には米原発子会社での巨額損失も発覚し経営危機に陥った。2年連続の債務超過を回避するため、17年に海外ファンドなど複数のアクティビスト(物言う株主)を引受先に約6000億円の増資を実施した。

現在、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントや3Dインベストメント・パートナーズ、ファラロン・キャピタル・マネジメントなどの物言う株主が東芝株の約3割を握る。物言う株主は短期的な利益を過度に追求し経営に介入する傾向があり、東芝の経営判断は二転三転してきた。

TOBは9月20日までを予定し、3分の2以上の応募で成立する。成立すれば、その後の株主総会での手続きなどを経て国内連合が東芝の唯一の株主となる。複雑な株主構成を整理し、出資する国内企業とも連携しながら成長につなげる。

東芝は今年11月下旬に、今回のTOBに絡む株式併合について臨時株主総会を開催する予定だ。同議案が可決されれば、年内には上場廃止となる見通し。

日経新聞 2023年8月7日 15:06 (2023年8月7日 15:13更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC208MC0Q3A720C2000000/