ウクライナ検察当局は12日、ロシアによる侵攻で死亡した子供の数が500人に上ったと明らかにした。

 負傷者は1100人近い。今月24日で侵攻が始まって1年半。戦争は長期化し、安全な場所で守られるべき子供の犠牲に歯止めがかからない状況が続いている。

 東・南部の前線から遠く離れた西部イワノフランコフスク州では11日、飛来したロシアの極超音速ミサイル「キンジャル」で、家族と共に自宅にいた8歳の男児が死亡した。オニシチュク知事は「重傷で病院に搬送され、医師が最善を尽くしたが、残念ながら命を救えなかった」と肩を落とした。知事は動画メッセージで、既に慣れっこになってしまった空襲警報に改めて注意を向けるよう促した上で、「どこに住んでいようとも、自分と親族の安全を守ってほしい」と訴えた。

 ウクライナ空軍によると、ロシア軍は自国中部トゥーラ、リペツク両州の上空からミグ31戦闘機でキンジャル4発を発射した。1発はウクライナ北部キーウ(キエフ)州で撃墜されたものの、残る3発がイワノフランコフスク州の軍用飛行場の近くに落下。男児の自宅はそこにあった。

 ウクライナ空軍報道官は「(西側諸国に)訓練に行く若いパイロットが標的となった」と指摘。近い将来、ウクライナに供与される可能性がある米国製F16戦闘機の運用を妨害するのがロシア側の狙いだと説明した。

 ウクライナは、軍事目標や民間施設を狙ったロシアの砲撃や空爆に巻き込まれて死傷した子供の数を約1600人としているが、占領された東・南部の犠牲者は把握できないため、「最終的な人数ではない」(検察当局)。占領地ではロシア側への子供の連れ去り問題が起きており、子供の人権状況は深刻さを増している。 

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