<深掘りこの数字>

 地震・噴火や津波で住宅や家財が壊れた時に補償を受けられる「地震保険」に加入する世帯の割合が1都3県で低迷している。地震保険は火災保険とセットで加入する仕組みで、火災保険に地震保険が付いた契約件数の割合「付帯率」は、東京が都道府県別で4番目に低い62.1%だった。関東大震災から9月で100年。専門家は「いざというときの備えを」と呼びかけている。
 損保会社など36社が加盟する「損害保険料率算出機構」の統計によると、地震保険の付帯率(2021年度)は、1都3県でいずれも60%台にとどまっている。一方、宮城県(88.7%)や熊本県(85.3%)は8割を超えており、「大きな地震の被災を経験した地域では付帯率が上がる」(損保業界の関係者)傾向があるという。

 首都圏の付帯率が低いのは、保険料の高さも関係していそうだ。東京・千葉・神奈川では、鉄骨造りなど耐火構造の保険料(保険金1000万円、期間1年)が、年2万7500円と都道府県別で最も高い。実際、同機構の19年調査によると、地震保険の未加入者が回答した理由として、「保険料の高さ」に関するものが目立つ。
 地震保険に詳しいファイナンシャルプランナー(FP)の清水香さんは、東京での保険料が高い理由について「住宅が密集する都内は地震が起きたときのリスクが集積しているため」と指摘する。「火災保険では地震が原因の火災や延焼はカバーされない」と注意点を挙げながら「特に木密地域では地震火災による深刻な被害も考えられる」と懸念。「地震保険に加入していれば、まとまった額のお金を受け取れるため、被災後の生活再建の支えになるので備えてほしい」と加入を勧める。(大島宏一郎)

東京新聞 2023年8月20日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/271018