28年前、36歳にしてようやく出来た待望の長男は目に入れても痛くないと思った松一、拓弥が夜中に熱を出せば病院まで背負って走り、小学校の運動会では自分よりも10も若いお父さんたちに混じって奮闘し、二十歳を迎えた時には初めて酒を酌み交わし、一部上場企業に就職を果たした息子から初任給で買ったというプレゼントに涙し、そしてやっと誕生した初孫を目を細めて見守る、そんな人生を送ることができて満足だったよと息子に感謝を伝えて息を引き取ったのであった