特殊詐欺グループのリーダーとされる男が7月に詐欺容疑などで逮捕された事件で、男の特定にこぎ着けたのはグループの内紛がきっかけだった。ただ、メンバーが離合集散を繰り返すグループの全体像は見えないことも多く、一般的に首謀者は遠隔で指示を出すため立件には高い壁がある。静岡県警は摘発に力を入れている。

 神奈川県平塚市の集合住宅。数十人の捜査員が突入したのは7月7日早朝のことだった。中にいた男は、県警がおよそ1年にわたって行方を追っていたボリビア国籍で住吉会系暴力団員の岡崎義瑠容疑者(34)。捜査幹部によると、特殊詐欺グループのリーダーとしてだまし取った金の管理などにあたっていたといい、これまでに恐喝容疑や詐欺容疑などで4回にわたって逮捕された。

 特定のきっかけは昨年2月24日。相模原市の高齢男性から現金4000万円をだまし取ったグループのかけ子らが、そのうち3000万円を着服し、グループからの脱退を画策したことだったという。

 一般的に特殊詐欺事件では、末端の実行役が「トカゲの尻尾切り」のようにされることも少なくない。指示役などと直接顔を合わせることはなく、中枢の人物を摘発することは困難とされる。

 しかし、今回の事件では、かけ子らがリーダーとみられる男を目撃していた。着服に激怒した岡崎容疑者はかけ子に直接詰め寄り、「このグループに入った以上、簡単に抜け出せねえんだよ」などと脅した上、暴行するなどして脱退を阻止しようとしていた疑いが持たれている。

 静岡県警は、その後に摘発したかけ子らの供述をもとに、「住吉会」「ギルという名前」「日本人離れした顔」などの断片的な情報をつなぎ、岡崎容疑者を特定した。捜査幹部は「末端の前に姿を現したことは大きかった」と語る。

 このグループは少なくとも2022年1~3月、県東部や神奈川県で発生した特殊詐欺事件に関与したとされ、県警はこれまでに受け子ら10人以上を摘発した。かけ子は都内の民泊などを転々とし、詐欺電話をかけるアジト(拠点)にしていたという。県警は、だまし取った金が暴力団組織に流れたとみて調べている。

■全容把握難しく

 ただ、グループの全体像はつかめないままだ。特殊詐欺には受け子やかけ子、現金の運搬役など複数人が関わるが、内部の結びつきは薄いという。時間がたてば自動的にメッセージが消えるアプリを使って連絡を取り合っており、証拠も乏しい。捜査幹部は「明確なセクション化で横のつながりが薄い。全容の把握は難しい」と語る。(以下ソース)

9/15(金) 7:44配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/50d6662680e653275e06176771fa8fc6d132922a
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