※2023/09/17 06:00
読売新聞

 36人が犠牲になった京都アニメーション放火殺人事件で殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判が今月5日に始まり、14日の第6回まで開かれた。検察、弁護側双方の冒頭陳述や被告人質問で、青葉被告の京アニに対する執着ぶりや、事件に至った経緯などが浮かびつつある。来年1月25日の判決まで、公判の要点を定期的に報じていく。

 事件当日の2019年7月18日の朝。青葉被告は京都市伏見区の京アニ第1スタジオ近くの路地に座り込み、思いを巡らせていた。台車に載せた携行缶には約24リットルのガソリンを入れ、ライターも準備していた。

 「大きなことをやる時、単純に『よしやろう』というふうにはならない。良心の 呵責かしゃく があった」

 時間にして14分ほど。頭に浮かんだのは、08年に秋葉原無差別殺傷事件を起こした加藤智大・元死刑囚(昨年7月に執行)だった。派遣の仕事を転々とした境遇が似ていると思っていたという。

 「この10年、20年はあまりにも暗く、全て実を結ばずに終わっている」との思いが膨らんだ。一方で、目の前にある京アニは「光の階段を上がっている」と感じ、「どうしても許せない」と考えたという。

 スタジオには多くの社員がいるという認識もあった。バケツにガソリンを移し、スタジオの入り口を開けた。ガソリンをまき、ライターで火を付けた。


 現在のさいたま市に生まれた青葉被告は9歳の頃に両親が離婚。トラック運転手だった父親、兄、妹と暮らした。生活は苦しかった。

 定時制高校を卒業後、コンビニ店で約8年間働いたが、仕事を押しつけられたと感じて人間関係がうまくいかず、辞めた。収入がなく、食品を万引きするなどして生活し、下着泥棒や女性に対する暴行事件で06年に逮捕された。

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