南北約20キロの鹿児島港がある鹿児島市は、釣り人にとって魅力の地だ。しかし船釣りを除けば、港周辺で自由に
海釣りできる場所は鴨池、桜島の二つの海づり公園に限られ、太公望が腕を振るえる場所はそう多くない。
港湾施設を管理する県、市が、安全対策や漁業者とのトラブル防止を目的に立ち入りを禁止しているためだ。

 7月中旬、名古屋市から旅行で訪れた長谷川成基さん(25)は釣りができる場所を探したが見つからず
結局、与次郎2丁目の鴨池海づり公園で糸を垂らした。「楽しみにしてきたが、釣り禁止の場所が想像以上に
多くて驚いた」と話した。

 鹿児島港をはじめ、県内の岸壁の多くは立ち入りが禁止されている。それにも関わらず、県内では釣り人が
関わる事故、トラブルが絶えない状況だ。

 2021年7月には志布志市の沖堤防で釣りをしていた男性が海に落ちて死亡した。
桜島の避難港ではロープや係留中の漁船に釣り糸が絡まり、釣り人が無断で漁船に立ち入ったこともあった。
釣り糸や容器などの放置のほか、夜間に大声で騒いだり花火をしたりと住民の迷惑になっているケースもある。

 県内の港湾を管理する県港湾空港課の担当者は「港湾区域は一般市民の利用を想定していない」と説明。
桜島の避難港を管理する市河川港湾課も「地元住民や漁師の被害を考えると、規制はやむを得ない」とする。

 鹿児島と同様に釣り人の無断立ち入りや船舶とのトラブルが問題となっている新潟県では、NPO法人が県の
許可を得て、港湾施設の一部を有料で釣り人に開放している事例がある。

 同法人は、ホームページ上に救命胴衣の着用やごみ持ち帰り徹底などのルールを明示し、職員が巡回し
安全管理を行う。船が来た際は仕掛けを引き上げるようにルールも定めた。

続き は 南日本新聞 2023/09/19 12:02
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