逢沢一郎・元国対委員長(69)=岡山1区、当選12回=ら自民党と立憲民主党の衆院議員計3人が、地方議員を公設秘書として兼職させていたことが明らかになった。毎日新聞が衆院事務局に提出された秘書の兼職届で確認した。逢沢氏は、地元ではない香川県三豊市の市議を採用した。

 3人の秘書は今も現職議員で、いずれも税金が原資の公設秘書給与と議員報酬を二重で受け取り続けている。議員との兼職が、与野党を問わず横行している実態が浮き彫りになった。


 他の2人は、自民の松本尚(ひさし)・防衛政務官(61)=千葉13区、当選1回=と立憲の福田昭夫衆院議員(75)=栃木2区、当選6回。公設秘書の兼職は、2004年の国会議員秘書給与法改正で原則禁止されたが、国会議員が許可すれば兼職できる「抜け道」がある。

3秘書側「現況届」出さず
 3人の事務所は兼職届を国会に出していたが、秘書の採用時期や勤務地などの情報を示す「現況届」の提出をいずれも怠っていた。現況届は04年の秘書制度改革に伴い、衆院の各会派が秘書情報の透明性を高めようと国会に提出を義務付けた文書だ。


 逢沢氏の公設秘書は三豊市議の三谷正史氏(64)で、公設秘書のうち秘書業務を統括する政策秘書を担わせていた。逢沢氏の地元事務所は岡山市北区にあるが、三豊市までは瀬戸内海を挟んで約50キロ離れている。

 三谷氏によると、22年1月、出身地の三豊市議選に初当選した直後に採用された。過去に公設秘書をしていた経緯があり、逢沢氏から復帰を依頼された。東京の事務所で多い月は3、4回勤務し、地元事務所には車で通っているという。


 兼職は衆院と市議会から問題ないとの説明を受けていたといい、三谷氏は「完璧に仕事ができているか分からないが、両方とも職責は果たしている。現況届は事務所が出し忘れた」と語った。秘書給与は衆院から約900万円を受け取り、市議報酬とともに年間約1500万円の「二重取り」になっている。

 一方、自民の松本氏は金塚学・千葉県酒々井(しすい)町議(49)、立憲の福田氏も斎藤久幸・栃木県日光市議(52)をそれぞれ公設秘書として雇っている。


 松本氏は取材に「しっかり働いてくれているので問題はない。現況届は本人が提出を忘れていた」と説明。福田氏は「議員が秘書を兼ねることで地元対応もでき、国と地方をつなぐ意味で効果的だ。兼職は問題ない」と語った。

 公設秘書と地方議員の兼職を巡っては、毎日新聞の報道で日本維新の会の池下卓衆院議員(48)=大阪10区、当選1回=が地元市議2人を採用していたことが判明。与野党幹部から批判が相次ぎ、自民の世耕弘成参院幹事長は19日の記者会見で「普通は考えられない兼職で道義的にあり得ないのではないか」と述べていた。【二村祐士朗、藤河匠、隈元悠太】

毎日新聞 2023/9/21 05:00(最終更新 9/21 05:00) 115
https://mainichi.jp/articles/20230920/k00/00m/010/317000c