東京都台東区の松村智成区議(50)=自民=が20日の区議会で、LGBTQなど性的少数者について教える学校教育について、「偏向した教材や偏った指導があれば(児童たちを)同性愛へ誘導しかねない」と発言していたことが判明した。性的少数者の全国組織は「性的指向は自分では変えられないという理解が欠落している。訂正すべきだ」と批判している。

 松村区議は20日の一般質問で、6月に議員立法で成立したLGBT理解増進法について区の教育現場での取り組みについて質問した。

 松村区議は、多様な性的指向や性自認があることを紹介した、他の自治体で使われている小学校高学年向けの教材を例示。この年代は、性も含めた自我の形成を図っていく非常に敏感で繊細な時期とし「性の多様性ばかりに重点を置き、男性や女性の特性を軽視するような教育をしては児童が混乱する」と発言した。


 さらに偏向した教材や偏った指導によって児童らが同性愛に誘導されかねないとし、「ジェンダーギャップという特殊な状況への理解を優先することに違和感を感じる」と持論を展開。区の対応を問いただした。区教委側は「今後も学習指導要領に基づいた適切な指導を続けてまいりたい」などと答弁した。

 LGBT法連合会の神谷悠一事務局長は「事実誤認で差別的だ。科学的に間違った発言をする公人に影響され、差別が広がる。発言を訂正すべきだ」とした。

 松村区議は取材に「『同性愛は気持ち悪い』という不当な偏見、差別は許さない気持ちでいるが、(同性愛について)自我が形成されていない子どもに対して押しつけるのは困る。学校で教える必要はない。発言を訂正するつもりはない」としている。【南茂芽育】

毎日新聞 2023/9/22 21:29(最終更新 9/22 21:36)
https://mainichi.jp/articles/20230922/k00/00m/040/333000c