阪神とオリックスが11月23日に、大阪、神戸両市内で同じ日に時間帯をずらして、それぞれ開催するリーグ優勝を祝う「合同パレード」。これが一向に盛り上がらない大阪・関西万博のPRに政治利用される可能性が高まっている。9月22日のパレード発表記者会見ではなぜか関西万博が強調され、奇天烈なデザインキャラクター「ミャクミャク」が描かれたボードの前で行われた。まったく意味不明だ。

 そもそも両チームのパレードは「阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード~2025年大阪・関西万博500日前!」などという名称がつけられ、大阪・吉村洋文知事、兵庫・斎藤元彦知事、関西経済連合会の松本正義会長が共同会見して発表した。もちろん優勝パレードと万博は何の関係もなく、虎党、オリックスファンからは「パレードの政治利用はやめろ!」との怒号が噴出している。

 パレードは関西経済連合会、大阪府、兵庫県などが中心となって実行委員会を立ち上げ、寄付や協賛を個人・団体から募って実施される。関西財界が絡むため、大阪府は「これ幸い」と、トラブル続きの関西万博をPRしたいのだろうが、かえってマイナスになっていることに気付いていない。

 阪神の「トラッキー」、オリックスの「バファローブル」らの隣に「ミャクミャク」がドカンと座っては、せっかくのインスタチャンスも台無し。テレビのニュースに「ミャクミャク」が映る皮算用もあるのだろうが、当然ながら「帰れコール」の大合唱が想定される。

 吉村知事は日本維新の会の共同代表、斎藤知事は維新の推薦で当選した維新系知事だ。阪神とオリックスの優勝に維新がまんまと便乗する腹づもりで、ついでに吉村知事は大阪万博の資金稼ぎもするつもりなのだろう。

 だがそもそも、両球団のファンが「選手らと優勝を祝いたい」という純粋な気持ちを利用して、まるで無関係な大阪万博をPRするという「セコすぎる政治利用」など、ファンをバカにするにもほどあがある。

 両球団の優勝パレードに無理やり不人気の万博を抱き合わせる様は「美味しい料理にタカるハエのようで、ひたすら不快」「阪神タイガースは前座扱いか」と、プロ野球ファンの怒りは収まらない。

 ここまでしてPRしなければいけないということは、いかに関西万博がピンチかが透けて見えるのだ。はたしてプロ野球ファンの猛反発を無視して、思惑通りにコトを進められるかどうか。
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