ロボットを使ったら従来のたった5%の時間で、これまでと遜色のない量のコメが収穫できた――。宮崎県延岡市でロボットによる稲作に取り組むテムザック(京都市)が初めての収穫で、こんな成果を得た。

 ロボットメーカーのテムザックは、高齢化による耕作放棄地の増加に悩む延岡市と組み、市内三つの水田で農作業のロボット化に取り組んでいる。苗代を作らず、ドローンで水田に種もみをじかにまき、人が見回るのではなく、遠隔操作によって水田の状態を管理。さらにアイガモによらず、雑草を防ぐロボ「雷鳥1号」を投入した。

 このうち1カ所の水田で、社員12人が9月、鎌を手に稲刈りしたところ、1反(約10アール)あたり400キロ弱のコメを収穫した。500キロ余収穫できる従来の農法の8割弱の収量とはいえ、529時間かかった労働時間は29時間で済み、大幅な省力化になった。栽培したのは米粉用の稲だが、「炊いて食べたら十分おいしい。いけますよ」と同社議長の高本陽一さんは言う。

 今回は、投入予定の稲刈りロボ「雷鳥2号」の完成が間に合わず、人力で刈り取ったが、11月ごろに計画する別の水田の収穫は雷鳥2号で行う。(大鹿靖明)

朝日新聞 2023年10月9日 8時00分
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