山形県米沢市の山あいにある滑川温泉の一軒宿「福島屋」が、宿から約4キロ離れたJR奥羽線峠駅周辺に貸別荘「ECHO(エコー)」を完成させた。建物周辺の豊かな自然や秘境駅とされる峠駅からの好アクセスをアピールし、通年での誘客を図る。

峠駅のスノーシェッドを模した駐車場。貸別荘(左奥)の2階につながる
 建物はいずれも木造2階の2棟で、2、3人の利用を見込むS棟(延べ床面積約80平方メートル)と4〜6人用のN棟(約110平方メートル)。木々や沢に囲まれた環境を売りに、キッチンやベッドの他に、サウナやバーベキュー設備を備える。

 標高約850メートルにある福島屋は例年4〜11月に営業し、冬季は豪雪のため閉鎖する。笹木雅生専務(42)は峠エリアを通年で訪れてもらおうと、冬でも奥羽線が運行し、車でもアクセス可能な峠駅周辺に注目。福島屋が駅の近くに所有していた標高670メートルほどにある山林5000平方メートルを整備した。事業費約6000万円、年間1000人の利用を見込む。

 昨年春ごろから山形県内のデザイナーらと事業に着手。スノーシェッドで覆われトンネルのような峠駅舎の構造や秘境駅のイメージを踏まえ、駐車場をトンネル風のデザインにするなど工夫した。今年7月に開業し、8月は県外からの利用客も増えた。

 笹木さんは「利用者は冬以外であれば、福島屋の温泉も無料で使える。鉄道で来られる貸別荘も珍しいので、これから紅葉を迎える森と共に峠エリア全体を楽しんでほしい」と話す。

 エコーの公式サイトで予約できる。事前に建物の鍵番号をメールで受け取り、棟内のタブレット端末で本人確認などを行う。料金は1泊1人1万1000円からで人数などに応じて変動する。連絡先は福島屋0238(34)225x。

河北新報 2023年10月5日 6:00
https://kahoku.news/articles/20231004khn000027.html