中国地方の中央卸売市場で、秋の味覚マツタケの入荷が大幅に遅れている。異変の要因は夏場の高温や少雨による不作。広島市と岡山市は例年より3週間以上遅く、山口県宇部市は11日時点で国産の入荷がない。主な産地の長野県や岩手県の関係者も品薄に悩まされ、入荷量が見通せない状況が続いている。

 広島市中央卸売市場(西区)には11日朝、岩手県産など約170キロが入荷した。広島県産は小ぶりのサイズが中心で約1・2キロ。卸値は高価格帯で1キロ当たり約12万円だった。岩手県産は3万5千円前後が目立つ。

 広島県産の初入荷は今月3日で、例年より3週間以上遅い。荷受会社の広印広島青果(同)は「夏場の暑さで菌が育つ環境が整わなかった」と受け止める。ある仲卸業者は「今年は地物が少ない。料亭には諦めてもらうしかない」とこぼす。

 岡山市中央卸売市場(南区)の荷受会社、岡山丸果(同)も地物の初入荷は10日で、例年より3週間以上遅い。少雨が響き、輸入品でしのぐ動きもあるという。宇部市中央卸売市場は11日時点で国産の入荷がゼロだ。

 入荷の遅れは全国に広がる。昨年の生産量トップの長野県では、猛暑の影響でマツタケがほとんど収穫できていない。県信州の木活用課は「ようやく市場に出始めたが、本来はシーズン終盤。ここまでの不作は経験がない」と異変を訴える。生産量2位の岩手県の販売業者でつくる岩泉まつたけ事業協同組合も「旬が約1カ月遅れ、単価は例年の倍以上で推移している」と説明する。

 マツタケの生育には適度な気温が必要で、冷え込みが進めば姿を消す。広印広島青果は「今年はいつまで入るか見通しが立てられない」と戸惑いをにじませた。

中国新聞社 10/11(水) 15:13
https://news.yahoo.co.jp/articles/373e564250d73063bbd9e968f8e3553859133537