体操服、紺色じわり 白が定番じゃないの? 理由を調べたら気候や生活スタイルの変化にたどり着いた<ニュースあなた発>

 スポーツの秋。東京都内の中学生の保護者から体操服についての情報が本紙「ニュースあなた発」に寄せられた。白が定番のはずの学校の体操服が「上下紺色になった」というのだ。理由を調べてみると、背景には気候や生活スタイルの変化があった。(小寺香菜子)
◆22年度販売のうち濃色は9%
 今年は、気温30度以上の真夏日の日数が過去最多を記録した。情報を寄せた保護者は「炎天下の体育の授業だと紺色の体操服は暑いのではないか」と言う。
 体操服を製造する各社に聞いた。保護者の心配をよそに、紺色の体操服を採用する学校は増えている。学校体操服シェアトップの菅公学生服(岡山市)は2022年度に販売した体操服のうち、紺色を含む濃い色の割合は9%。3年前は6%だった。
◆速乾性求め薄手に→透け防止で紺色に
 同社スポーツ企画推進課の勝山裕太さんによると、綿が使われることが多かった体操服は現在、薄手のポリエステル製が人気になっている。忙しい共働き家庭からの「夜に洗濯しても朝には乾いてほしい」という切実なニーズに応えながら、厳しい暑さをしのぐため速乾性や通気性、UVカットなどの機能強化を図った。
 ただし、薄手の体操服は白色だと透けやすい。菅公学生服が18年に女子中高生231人に行った調査でも、体操服で気になることに39.4%が「下着が透けること」を挙げた。
 そこで求められたのが「透けない」紺色の体操服だった。
 都内や近隣県の学校向けに体操服を製造販売する「レイバン」(八王子市)の担当者も「機能性向上のため素材が薄く軽くなったので、透けるのを防ぐために濃い色が増えている」と答えた。
◆実際に変えた学校は?
 千葉県松戸市の私立光英VERITAS中学・高校は21年度に女子校から共学校になったことにあわせて体操服をリニューアル。半袖の上着を白色から紺色に変更した。
 高校1年の五十嵐七菜ななさん(15)は「中学では白色の体操服で、汗をかくと透けていた。紺のほうが良い」。同級生の石川宇海うみさん(16)も「乾きやすいし、汗もべたつかない」と気に入った様子だった。
 東京都あきる野市の市立東中も、本年度から体操服を紺色に変えた。青木久敏副校長は、やはり「(下着などが)透けるのを防止するため」を理由の一つに挙げた。生徒にも好評だという。
 武蔵野美術大の北徹朗教授(スポーツ産業論)の話 体操服は運動で使うことが多いだけに汗を吸収し、こもった熱を逃がすような役割が求められる。暑さの中で活動することを想定し、空気が抜けていくような素材や形状がいい。

東京新聞 2023年10月15日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/283784