「男女別出席簿」が2024年春、都内の公立小中学校からなくなる! 残る8校が続けていた理由は

 学校で出欠を取る際などに性別で分けた「男女別出席簿」が残る東京都多摩市の市立中学校が、来年4月から五十音順などで並べる「男女混合出席簿」に切り替える方針を固めたことが、市教育委員会への取材で分かった。都議による2023年度の調査で、同市は男女別出席簿が唯一残っていたため、来春から都内全ての公立小中学校が男女混合出席簿に変わる見込みとなった。(奥野斐)
◆83.2%→92.6%→99.6%
 出席簿は1980年代ごろから、男女平等施策の一環で、男女別から混合出席簿に移ってきた。都議の漢人かんど明子氏は、2年前から都内の区市町村の教育委員会を通じ、小中学校と義務教育学校の混合出席簿の使用率を調べてきた。21年度は83.2%(未使用315校)、22年度は92.6%(同138校)だった。
 23年度は99.6%に拡大。男女別は多摩市の中学校9校のうち、混合出席簿を先行導入した1校を除く8校のみとなっていた。多摩市教委は本紙の取材に「来年4月に全校で混合出席簿を導入する予定。結果的に最後になったが、男女別にこだわる理由があるわけではない」と、来春に切り替える方針を明らかにした。
◆「もう男女別出席簿を維持する理由はない」
 漢人氏は、ジェンダー平等意識の高まりなどを挙げて、「もう男女別出席簿を維持する理由はない。名簿だけでなく、意識や実態をさらに変えていく必要がある」と話す。ただ、中学校の保健体育の授業など男女別に行動する際は、名簿も分けるケースがある。
 都は02年に公立小中学校の混合出席簿の推進を掲げた。だが、ジェンダー平等や性教育に対する反発もあり、04年に「『男らしさ』や『女らしさ』をすべて否定するような誤った考え方で混合出席簿を作ってはならない」という趣旨の通知を出すなど迷走していた。

東京新聞 2023年10月15日 19時57分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/283927