東北森林管理局は20日、クマが主な食料の一つとしているブナの結実状況が、管内の東北5県(福島を除く)すべてで最悪評価の「大凶作」だったと発表した。ブナの実が少ないことで、餌を求めてクマが人里に近い場所に出没し、人身被害の要因になっているとみて、関係機関は警戒を呼びかけている。

 同局は毎年秋、青森、岩手、宮城、秋田、山形の5県の計145カ所でブナの結実状況を目視で定点調査している。今回、各県で全く実をつけていない「非結実」の調査地点が大半を占めた。結果は4段階で判定され、全5県で最も悪い「大凶作」となるのは2019年度以来だった。

 岩手県では、23年度のクマによる人身被害が19日までに35件発生し、36人が負傷、2人が死亡した。負傷者は統計を取り始めた1993年度以来、過去最多で、1年に複数の死者が出たのも初めて。

 岩手県の達増拓也知事は20日の定例記者会見で「クマと遭遇したことがあるけれど大丈夫だった、という過去の例を基準に安全性を過信せず、クマへの警戒を一段高めていただかなければならない」と述べた。【釣田祐喜】

毎日新聞 2023/10/20 16:15(最終更新 10/20 16:15) 464文字
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