仙台医療圏の4病院の再編構想を唱える宮城県の村井嘉浩知事と、一時休止を求める仙台市の郡和子市長が24日、この問題で初めて直接対決した。穏やかに始まった議論も、病院再編に及ぶと白熱。「(市長は)逃げていると言われますよ」「知事の誤解です」とほかの市長たちもかやのそとの状態でタイムアップ。平行線に加えて溝も深くなった形で、歩み寄りはなかった。

将来の人口減を見据え、村井知事は仙台医療圏の病院再編を提言。東北労災病院(仙台市青葉区)が県立精神医療センター(名取市)と合築されて富谷市に、県立がんセンター(名取市)は仙台赤十字病院(仙台市太白区)と統合し、名取市に移る。2つの大病院が仙台市からなくなることもあり、郡市長は県の構想を裏付ける詳細なデータをもとに説明するよう要求していたが、「これまで説明がない」と構想の一時休止を求めている。

対決の舞台となったのは、この日開催された「宮城県市長会と知事の行政懇談会」。

村井知事から指名された郡市長は「私から『反対』を申し上げたことはない。県からの説明がなく評価のしようがないのです。市民に説明しなければならないが、それもできない」と持論を展開した。

仙台市以外の13市長も意見を求められたが、ほぼ全員が「賛成」。これに対し、郡市長は「政治の要諦は調整力。調整力を発揮して頂かないと今回のような状況になる。知事には牽引力のみならず、調整力も発揮して頂くようにお願いしたい」とチクリ。

村井知事が再編の意味について説明している最中も腕組みをして、宙を見つめるばかり。村井知事が「将来、人口が減っていくなかで、仙台市は何らかの支援策を考えておられるのか」と尋ねると、「市内の3病院には補助などを行っている」と反論。村井知事も「ランニングコストではありません。病院を建設すると、かなりの財源が必要なんです」と再反論した。

産経新聞 2023/10/24 14:32
https://www.sankei.com/article/20231024-NJ76IREZ4ZOTXPLQ7S2A2Y7HRM/