国連総会(193カ国)は27日、パレスチナ自治区ガザ情勢をめぐる緊急特別会合を開き、パレスチナとイスラエル双方の民間人に対するあらゆる暴力を非難し、「人道的休戦」を求めるヨルダン提出の決議案を120カ国の賛成で採択した。

 特別会合は、安全保障理事会が大国による拒否権の応酬で一致した行動が取れないことを受けて開催された。安保理とは異なり、総会に拒否権を持つ加盟国はなく、決議に拘束力もないが、全加盟国の総意を示す政治的な重みをもつ。

 決議案はヨルダンが提出し、共同提案国にはアラブ諸国を中心にロシア、南アフリカを含む40カ国以上が名を連ねた。14カ国が反対し、45カ国が棄権した。
 決議案はガザにおける「破局的な人道状況への重大な懸念」を表明。ガザ全域の市民への人道支援をただちに安全な形で実施することを求め、地域の不安定化と暴力の拡大を防ぐ重要性も強調した。またイスラム組織ハマスに直接言及はせず、すべての民間人の人質の即時解放を求めている。当初の決議案に明記された「即時停戦」は、「即時かつ持続的な人道的休戦」に置き換わり、採択にかけられた。

 一方、カナダはヨルダンの決議案にハマスを明記した上で、テロ攻撃への非難と無条件での人質解放を求めた条文を盛り込んだ修正案を提出。賛成したのは88カ国で採択に必要な投票の3分の2以上に届かなかった。反対は55カ国、棄権は23カ国だった。米欧や日本など30カ国以上が共同提案国に加わっていた。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞 2023/10/28 05:30(最終更新 10/28 06:13)
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