資金難の国立科学博物館、クラファン8億円超…元文化庁長官「予算少ないのは経済優先のせい」
2023年11月04日 09時07分  弁護士ドットコムニュース
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独立行政法人国立科学博物館(以下、科博)は、コロナ禍に伴う入館料収入の減少や光熱費の高騰などで活動の継続が困難になるとして、2023年8月からクラウドファンディング(CF)をおこなっている。

11月4日時点で、目標金額1億円を優に超える約8億6000万円が集まっており、このままいけば大成功のCF事例となりそうだ。一方で、「国立」の名がつく施設でありながらCFをしなければ運営が立ち行かない状況に疑問を覚えた人もいるのではないだろうか。

政府が文化芸術分野に割り当てる予算は優遇されているとは言い難い。2023年度の一般会計予算は過去最大の114兆3812億円で、文部科学省所管の一般会計予算は5兆2941億円だったが、そのうち文化芸術に関わる文化庁の予算は1077億円で、文科省予算のわずか2%ほどだった。

この割合は諸外国と比較しても低い。文化庁の資料によると、調査対象6カ国(日本、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、韓国)の文化支出額(2020年度)は、6カ国で最も少なく、政府予算に占める割合や国民1人あたりの額もアメリカに次いで低かった。

なぜ日本の予算はこれほどまでに少ないのか。2013年から2016年まで文化庁長官を務め、東京大学名誉教授で多摩美術大学理事長の青柳正規氏に話を聞いた。(ライター・望月悠木)

●「維持管理費用が足りません」に驚き

青柳氏は、科博のCF自体は「決して珍しくない」という。

「科博では2010年代後半に、『琉球列島にどのようにして人類が進出できたのか』ということを調査する“3万年前の航海徹底再現プロジェクト”というものが進められていました。

その際、活動費を募るためにCFを利用しました。科博が市民からお金を集めることは決して珍しくありません」

一方、今回のCFには「驚いた」と話す。着目したのは「CFの理由」だ。

「光熱費などの上昇によって運営が継続できないという理由には大変驚きました。


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