※11/7(火) 16:01配信
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全国の人身被害は180人に上り、記録がある2006年以降では過去最悪に

 全国各地でクマによる被害が相次いでいる。今月1日、環境省はツキノワグマやヒグマによる人的被害の状況について発表。全国の人身被害は10月31日時点で180人に上り、記録がある2006年以降では20年度の158人を上回り過去最悪となった。特に被害が深刻な秋田県では被害者が60人を超え、市街地での被害も多数報告されている。この先、人間とクマが共存していくことはできるのか。50年近くにわたってツキノワグマの調査を続ける日本ツキノワグマ研究所の米田一彦所長に、日本列島に起きている異常事態の真相を聞いた。

 米田氏は1948年、青森県十和田市出身。秋田大学教育学部を卒業後、秋田県立鳥獣保護センターや秋田県生活環境部自然保護課に勤務、県庁職員としてクマ対策に当たってきた。86年、38歳のときに秋田県庁を退職し、当時被害が深刻だった西日本のクマ調査に携わる。その後、01年に広島県でNPO法人「日本ツキノワグマ研究所」を設立。以来東北から西日本まで全国各地でツキノワグマの生態調査を続けている。

「まず知ってほしいのは、クマと人間の関係は時代や地域によって全く実情が異なるということです。古い新聞によれば、明治から戦後まで農村部では野生動物が貴重なタンパク源で、毛皮やクマノイ(漢方薬になる胆のう)も高値で売るため、今とは反対に人間が村人総出でクマを襲う時代でした。戦後一度は絶滅しかけ、徐々に回復したものの利用は続き、2000年頃からようやく保護の時代に移行。10年頃から個体数が増加に転じ、15年頃からは再び駆除の時代に入っています。

 また、西日本では山と集落が入り組んでおり、人とクマの距離が近いために被害が多かった。ただ、個体数は多くないので保護する必要もあって、奥山放獣といって捕獲したクマを山奥に放ったり、集落全体を電気柵で囲うなどの対策を行ってきました。一方、東北は山が深く、正確な調査には限界があった。長年にわたって、個体数を過小評価し続けてきてしまったのではと思っています。やがてクマが増え、若いクマが高齢化で人の手が入らなくなった里山に生息域を広げて行きました。正確な数は分かりませんが、20世紀末と比較すると4~5倍になっているのではと思います」

 クマの出没には多い年と少ない年が存在する。エサとなるブナなどのドングリ類の豊凶と関係があるとされているが、それにしても今年の被害者数は異常だという。いったい何が起こっているのだろうか。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/7ca1395de20ebfc0c643d35308a11e3252073f47