警視庁、1日の110番通報が東日本大震災当日を上回り過去最多 6月24日に8354件 その要因は

 警視庁が受理した110番通報の件数が今年6月24日、1日あたりで過去最多となる8354件だったことが、同庁への取材で分かった。これまでの最多は東日本大震災当日の2011年3月11日の8109件だった。はっきりした理由は不明だが、新型コロナウイルスが5月に5類へ移行した後は、交通事故や駐車トラブルの通報が増えているという。
◆「セミが3匹いて怖くて家に入れない」…#9110の利用を 
 110番の通信指令システムが現在の形となった1999年1月以降の記録では、東日本大震災や2018年10月1日の台風24号などの災害時のほか、隅田川花火大会など大規模イベントの際に通報件数が多くなる傾向があった。

 過去最少は、コロナ禍での緊急事態宣言下の20年4月13日で2627件。今年5月8日にコロナが5類に移行してから、増加傾向になった。9月末までに前年同期比17%増の計159万件を受理。交通事故での当事者や目撃者らからの通報が17万件、駐車の仕方を巡るトラブルが14万件で、騒音問題や住民トラブルの通報も多い。
 一方、誤報や虚報は前年同期比28%増の42万件、いたずらや誤って通報したケースが同36%増の18万件に上った。「エアコンの使い方が分からない」「セミが3匹いて怖くて家に入れない」「タンスが開かない」といった通報もあったという。

 警視庁は悪質な行為を摘発。今夏に1日260回の無言通報を繰り返した男を偽計業務妨害の疑いで逮捕し、春には「強盗の被害に遭った」と虚偽の通報をした別の男を軽犯罪法違反容疑で書類送検した。男は「パチンコで浪費したことを隠したかった」と供述したという。
 各都道府県警は、緊急性の乏しい事案では警察相談専用電話「#9110」を利用するよう呼びかけている。警視庁通信指令本部の担当者は「必要だと思うときは迷わず110番してほしい。しかし不要不急の通報は、事件の捜査や事故・災害の対応などに支障が出る。#9110を活用していただければ」と協力を求めている。(鈴鹿雄大)

東京新聞 2023年11月9日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/288881