大阪、神戸両市で23日に開催されるプロ野球・阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝パレードで、運営費を賄うクラウドファンディング(CF)が低調だ。目標の5億円に対し、9日時点の寄付は約6400万円で、わずか1割強。日本シリーズは59年ぶりの関西対決で盛り上がったが、パレードの資金調達は、先行きが不透明だ。

■「生みの苦しみを感じている」

 大阪府の吉村洋文知事は9日の記者会見で、CFへの協力を改めて呼びかけ、危機感をにじませた。

 パレードは、大阪府と兵庫県、経済界などでつくる実行委員会が主催。運営費は警備費を中心に5億円と想定する。「特定球団の優勝パレードに、公費支出は原則できない」(大阪府担当者)との考えで、全額を個人からの寄付と企業の協賛金で賄う予定だ。

 個人からの寄付については、インターネットで資金を募るCFサイト「READYFOR(レディーフォー)」で10月18日に始めたが、申し込みは伸び悩んでいる。

 兵庫県幹部は「阪神が日本一となり、関西全体が盛り上がる中、想定外だ」と嘆く。

■限定品「周知不足」

 低迷の理由として挙げられるのが、2025年大阪・関西万博と関連づけたことだ。

 万博は今月30日に開幕500日前となり、前売り入場券の販売が始まる。万博への注目度を高めたい吉村知事は、パレード開催を発表した9月の記者会見で、万博の公式キャラクター「ミャクミャク」とともに登場し、「万博を一緒に盛り上げたい」と強調した。

 ところが、SNS上では「両方を絡めるのはやめて」と反発の声が上がり、大阪府には「政治利用は控えるべきだ」など批判的な意見が35件寄せられた。

 このため、日本国際博覧会協会が実行委に入ることや、パレードへのミャクミャクの参加は見送られた。しかし、パレードの正式名称には「万博500日前」の言葉が入ったままで、阪神ファンの大阪府東大阪市に住む大学4年の男性(22)は「行政の思いが透けて見え、阪神の日本一が利用されているようで残念」と話す。

 返礼品の工夫や周知不足を指摘する声もある。

 CFの寄付額は、3000円〜1000万円の8段階で、金額によって26種類の両球団のグッズが贈られる。3000円ならキーホルダー、10万円ならフォトフレームといった具合だ。一方、高額のものは、1000万円と100万円だが、「お礼のメッセージ」とだけ書かれ、具体的な内容は記されていない。

 いずれの返礼品も「CF限定」。とはいえ、そのこと自体も十分に周知されているとは言えない状況で、経済界からは「高額の寄付には特別鑑賞席を設けるなど、工夫が必要ではないか」との声も出ている。返礼品の追加自体は可能だが、大阪府の担当者は「両球団との調整が必要なことから、現時点では考えていない」という。

■警備費高騰

(略)

■心理的な距離感

  種子田たねだ 穣・立命館大教授(スポーツビジネス)の話「球団とファンが喜びを分かち合うイベントに行政側が万博を絡め、心理的な距離感が生じてしまった。返礼品にサイン入りグッズを用意するなど選手の顔が見えるような仕掛けを考えるとともに、効果的なPRが必要だ。5億円の使い道の丁寧な説明も求められる」

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読売新聞 2023/11/10 07:05
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