「ある薬局から、医薬品の在庫に関するリストが当院に届いているのですが、せき止め薬はメジコン錠のみわずかな在庫があるものの、ほかのせき止め薬は顆粒、シロップ、錠剤のいずれも在庫切れの状況。せき止め薬と一緒に処方されることの多い痰を切る薬、抗生物質なども軒並み在庫不足です。これまでも短期的に薬が不足することはありましたが、今回のように長期的に在庫不足が続くのは、はじめてではないでしょうか……」

こう語るのはナビタスクリニック立川の久住英二医師だ。季節性インフルエンザの感染拡大が続くなか、感染時のつらい症状を緩和するための薬が足りなくなっているのだという。

「インフルはA香港型が流行しており、これで終わればいいのですが、Aソ連型やB型などが流行する可能性もあります。さらに、1月には新型コロナ患者が増加するでしょう。現状の在庫状況では不安が残ります」(久住さん)

全国的な薬不足に関して、神奈川県立保健福祉大学教授(医薬品政策)の坂巻弘之さんが解説する。

「現在、医薬品は約1万8千品目ありますが、通常どおり出荷できているのはそのうち1万3千600品目で、残りは出荷に支障が生じているという状態です。医療機関で処方される薬のうち在庫不足が顕著なのは、せき止め薬のメジコン、アストミン、痰を切る薬のムコダイン、感冒薬のPL配合顆粒、抗生物質などです」

ここ数年の新型コロナの流行や、今シーズンのインフルエンザの流行が例年よりも早くに始まったことなどが供給不足の一因となっているのは明らかだ。さらに「日本の医薬品の製造体制に根本的な問題がある」と坂巻さんは言う。

「相次いで発覚しているジェネリック医薬品メーカーの不祥事が挙げられます。’20年末に小林化工が製造した水虫の薬に睡眠薬の成分が混入し、服用した2人が亡くなる事故があり、ジェネリック事業から撤退しました。続いてジェネリック最大手の日医工が、出荷段階で不適合の製品を、本来の手順に従わずに再製造するなどして出荷していたことが発覚。最近では、今年10月に沢井製薬で胃薬の品質検査において不正が発覚しました。ジェネリックメーカー以外でも査察や内部告発が相次ぎ、15社に業務停止命令の行政処分が下っているのです。当然、問題のあった製品の出荷は停止されています」

そのような状況だからといって、同じ成分の薬を製造しているメーカーに不足した薬の注文が殺到すれば、製造ラインがパンクしてしまう。また、製造ラインに余裕がなく、思うように増産することもできない。結果、現在のせき止め薬や痰切り薬の不足につながっているのだ。

さらに、ジェネリック薬の製造量が急増していることも、問題の一因であるという。

「一般的に、処方薬では3割を患者、7割を国・保険者が負担します。国としては、医療財政が逼迫しているため、薬を安価にして負担を軽減したい思惑があります」(坂巻さん)

こうしたことから、安価なジェネリック薬のシェアが近年拡大してきた。

以下全文はソース先で

11/10(金) 6:03 女性自身
https://news.yahoo.co.jp/articles/9a57a8028fbfbba88d30d6fa23b84e3dc7270cdf

※他ソース
せき止め薬だけじゃない 薬不足で症状悪化も 医師ら「国は対応を」
https://www.asahi.com/articles/ASRC96RDSRC9UTFL00S.html