ガザ侵攻、空爆で親類7人亡くす 男性イマーム(指導者)の願い「パレスチナでも神戸のような平和を」|社会|神戸新聞
https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202311/0017045935.shtml

2023/11/20 06:00

 イスラエル軍による攻撃で、パレスチナ自治区ガザで死者が1万人を超える中、神戸など関西在住のイスラム教徒らが停戦を求める声を上げ始めた。日本で最も歴史がある神戸ムスリムモスク(神戸市中央区)のイマーム(指導者)、サラフッデーンさん(31)は、ガザ地区に暮らす親類7人を空爆によって亡くした。

■2人は4、5歳の子ども、3人は女性

 「ガザで家族を失った一人です」。11日、サラフッデーンさんは神戸市中央区の兵庫県民会館で開かれたシンポジウムに登壇し、こう疑問を投げかけた。「パレスチナの人はテロリストと言われているが、子どもも女性も武器を持ったことはない。テロリストなのでしょうか」

 サラフッデーンさんはエジプト出身で、4年前に来日。1935年に建立された日本最初の歴史ある神戸ムスリムモスクで集団礼拝の指導役を担っている。

 ガザ市には父方の親類が暮らしていた。2007年にイスラエルによってガザ地区が完全封鎖されるまでは、お互いの家を行き来していたという。

 だが、今年10月7日、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの戦闘員がイスラエルに越境攻撃を仕掛け、その報復としてイスラエル軍による空爆が始まった。同20日に1人、同23日に6人の親類が空爆の犠牲になった。7人のうち2人は4、5歳の子ども、3人は女性で、全員一般住民だったという。

■神戸のような都市は世界にない

 シンポジウムは神戸に住むイスラム教徒らでつくる「関西ムスリムサポート協会」が主催した。研究者らが、イスラエルとパレスチナの歴史的背景やパレスチナ人が半世紀以上にわたって人権もない状況で抑圧されていること、イスラエルによるガザ地区完全封鎖などは国際司法裁判所も違法性を指摘していることなどを解説。「国際社会全体がガザを追い詰めてしまった」などと指摘した。

 シンポジウム後のデモ行進では、赤、黒、白、緑のパレスチナ旗が掲げられた。サラフッデーンさんも先頭付近を歩き、「ストップ ジェノサイド」「子どもたちを殺すな」などと声を合わせて停戦を求めた。

 モスクで行われる毎日の礼拝でも、ガザ地区の平和を願うサラフッデーンさん。「イスラム教、ユダヤ教、ヒンズー教、仏教、神道…。神戸はいろいろな宗教が共存し、お互いに尊敬しながら平和に暮らしている。そんな都市は世界にない」とし、「パレスチナでも神戸のような平和を」と願い続けている。(高田康夫)