富山・高岡市内のガソリンスタンドに勤務していた男性が”過重労働”で自殺したとして、遺族が会社側に損害賠償を求めた裁判。裁判所は会社側に6200万円余の支払いを命じる判決を言い渡しました。判決後に男性の”長男”が会見を開き、語ったことは…

過労死した男性の長男:「私どもの主張が10割認められたことに関してひとまず安堵。それでも父は帰ってくることはない、苦しい気持ちは続いていく」

父の死から4年。判決後に開かれた会見で過労死した男性の長男がいまの胸中を語りました。

4年前、当時58歳で自ら命を絶った男性の遺書です。

過労死した男性の遺書:「家族へ、本当にすまない、おとん病んでしまった。生きる方向を見失い能力も限界に達した。後始末に面倒をかけるが、それがなによりつらい。本当にごめんなさい」

男性が精神を病んでしまった原因は会社からの”過度なノルマ”でした。

男性は当時、高岡市の丸福石油産業・米島店など3店舗の運営・管理を担っていました。

訴状などによりますと、男性は会社から3か月に1度は1000リットルのオイルを販売するノルマを命令されていました。

しかし、2019年9月に男性はノルマを達成できず、思いつめてしまった結果、翌月に”うつ病”と診断され、まもなく自殺しました。

男性の遺書には”自分を責める言葉”がつづられています。

過労死した男性の遺書:「私も死は怖いです。でもそれ以上に生きていくのが怖くなってしまいました。くやしい、これでも目一杯がんばってきたつもりなのですが、残念です。最近では自律神経失調症を患いうつ気味、意欲や集中力も低下し責任の重圧に耐え難く…皆様方には多大なる迷惑をおかけしますが、先立つ不幸を本当にお許しください」

亡くなる前の時間外労働は月100時間を超えていて、14日間の連続勤務もあったといいます。

男性の遺族は会社側に和解を提案しましたが、会社側が応じなかったため、2021年7月に会社と当時の社長を相手取り、およそ7600万円の損害賠償を求め提訴しました。

これまでの裁判で会社側は「時間外労働があったことは認めるが、自殺の原因にはなっていない」として”請求棄却”を求めていました。

提訴から2年。29日、富山地方裁判所高岡支部で判決が言い渡されました。

裁判所は、会社側の安全配慮が欠けていたことやノルマは達成困難なものであったとして過重労働を認定。

男性の死との因果関係が認められるとして会社側に6200万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡しました。

過労死した男性の長男:「本当は生前に言えたらよかったけど、大変つらい状況の中、一生懸命勤勉に働いていた父に心からお疲れさまでしたとお参りしたい」

そのうえで、過重労働の実態が是正されていない社会全体を改善する必要があると訴えます。

過労死した男性の長男:「私たち家族は大切な家族を失い、会社としても多額の損害賠償を支払うはめに結果すべての人が不幸になった。そしてこれは自然災害ではなく、防げることだと思う。ただ、それを無視した結果、このようなどちらにとっても最悪な結果になることを重々に理解してほしい」

一方、被告の丸福石油産業は判決を受け、「判決文が届いていないのでコメントできない」としています。

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チューリップテレビ 2023年11月29日(水) 19:20
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