<生産年齢の有業者の約半分が年収300万円以下で、600万円以上は2割もいない>

社会は、国民の一定数が働くことで成り立っている。働く人が働かない人を支えるという意味で、前者に対する後者の比率は「従属係数」と言われる。高齢化の進展もあり、この値は年々高まる一方だ。

生産年齢人口(15~64歳)と高齢人口(65歳以上)を並べてみると、1950年頃は前者12人で後者1人を支える「お神輿」型だったが、今世紀の初頭に3人で1人を支える「騎馬戦」型になり、近い将来には「1:1」の「肩車」型になるという。これでは社会が成り立たないと、社会保障制度の見直しについて議論されたり、高齢者の役割革新が促されたりしている。


なお、支える側(働く人)も一枚岩ではない。従業地位では正規雇用、非正規雇用、自営(フリーランス)に分かれ、収入が多い人もいれば少ない人もいる。年収階層ごとの有業者数をヒストグラムにした図をみると、時代とともに、上が細く下が厚い「ピラミッド」型になってきている。

国民を有業者と無業者、さらに前者を大雑把な年収階層で分けたグラフにしてみると、日本社会の構造がリアルに分かる。2022年10月時点の年齢別人口を、こうした観点から色分けすると<図1>のようになる。

年齢別人口の量を見ると、70代前半と45~54歳の部分に山がある。団塊と団塊ジュニアの世代の人たちだ。高齢層と20歳未満の未成年では、無業者が大半を占める。

両者の間の生産年齢層が働いているわけだが、3つの年収階層に分けてみると、年収300万円未満の人が多い(約半分)。一昔前では普通とイメージされていた年収600万円を超える人は、有業者の中では2割もいない。下が厚く上が細い「ピラミッド型」で、この上に、働いていない被扶養人口(白色)がのしかかっている。

今の日本社会はまさに、働く貧困層(ワーキングプア)によって支えられている、と言っても過言ではない。図の赤色の中には、エッセンシャルワークも多く含まれる。あえて時短勤務を選んだり、配偶者控除をにらんで収入を抑えたりしている人もいるが、決してそういう人ばかりではない。やむなく低賃金に耐えている人が多いのであり、だからこそ「ワーキングプア」という言葉が生まれ、流行語にもなっているわけだ。

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