沖縄地区税関は20日、県内から2022年に輸出された揚げ物料理などで使用した「廃食用油」の輸出が約2258トン、約3億9180万円で数量と金額ともに過去最高だったと発表した。前年比では数量が1・8倍、金額が3・3倍。海外で製造が盛んなバイオディーゼルの原材料としての需要が高まり、23年も前年を上回るペースの輸出量が確認されている。

税関は輸出品目として「加工油脂およびろう」の輸出実績を統計し、県内の関係業界へのヒアリングで18年以降は同品目のうちほとんどが廃食用油であると確認。使用済みや古くなった食用油から水分やごみなど不純物を除去し、有価物として海外に輸出されている。

海外でバイオディーゼルの生産工場が増加する中、近年は世界的なエネルギー需要の高まりや円安の影響で原材料となる廃食用油の輸出が県内、全国ともに増加傾向にある。全国的にはシンガポールが最大の輸出先で、県内からは経路的に輸送がしやすい韓国への輸出が9割超を占めている。

沖縄地区税関は「業界によると、国内でもバイオディーゼル精製で廃食用油の需要が高まりつつあるが、精製が安定するまでは輸出が続くとみられる」と分析。廃食用油はディーゼル以外に再生航空燃料の製造も可能な一方、国内で再利用される食用油は事業系がほとんどを占めている状況を踏まえ「各家庭で発生する廃食用油も積極的に回収し、有効活用すべき時代なのかもしれない」と指摘している。(政経部・銘苅一哲)

沖縄タイムス 2023年12月21日 10:00
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