日本の政治が数十年に一度といわれる危機を迎えている。裏金疑惑に揺れる政府は、イメージの回復に躍起となっている。

どうにか政権を延命させようと岸田文雄首相が奮闘するなか、この2週間で、長期与党・自民党の閣僚4人が辞任した。

内閣支持率は、過去10年超で最低の17%にまで落ち込んでいる。

国民の怒りはソーシャルメディアで沸騰している。

今の事態が、日本の統治の改革につながる転換点となることを期待する声もある。しかし、問題の焦点は自民党だという声もある。1955年から、ほぼ一貫して日本を支配してきた自民党なのだと。

自民党は以前から、同じようなスキャンダルを引き起こしてきた。アジアの民主主義をリードする日本の有権者が幻滅して、冷ややかなのは、それも理由の一部だとアナリストらは話す。

■どんなスキャンダルなのか
■首相はどうなのか

(略)

■冷めていく有権者

現実的に政権を取って代わる党がないことが、自民党の不正スキャンダルが明るみになるたび、有権者らが冷めた気持ちになっていく理由の一つとなっている。

「自民党の汚職や不正を目の当たりにして、人々は非常にネガティブな気持ちになる。だが、投票してもしなくても大して変わらないと考えている」と竹下教授は言う。

「日本の国民の間で投票率や政治への関心が最低レベルまで落ちているのは、そのためだ」

そうした考えから、今回の事態が自民党支配を終わらせたり、日本の政治を大きく再定義したりすることは望めないと、竹下教授のようなアナリストたちはみている。

代わりに注目しているのが、これが自民党政治にどう影響するかだ。有力者が排除されることで、減税から外交問題、さらには首相の主要政策である防衛強化に至るまで、政府の方針が変わる可能性がある。

竹下教授は、政治資金に関して規制が強化され、より厳しい報告制度が導入される可能性が高いと話す。

しかし、そうした変化は必ずしも大きな改革につながるとは限らないし、自民党の基盤を崩すことになるとも限らない。

「今回のは岸田氏が(自民党の)コンセンサスを得て大改革をするほどのスキャンダルではない」と竹下教授は言う。

「この政治資金の集め方で利益を得ている人が、日本には大勢いる。国の現状とはそういうものだと、承知している人たちだ。そして、まさに現状の打破こそ、日本人が嫌うものだ」

(英語記事 Corruption allegations rock Japanese politics)

BBC 2023年12月23日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-67800084
https://ichef.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/4FD0/production/_132123402_d2fa9ac5-6277-4a00-95c4-9c5266495c47.jpg