次世代半導体製造を目指すラピダス(東京)の工場建設が進む千歳市でマンション建設が相次いでいる。

2023年度の4階建て以上の共同住宅の建築計画は12月末時点ですでに、22年度の年間届け出数の1・5倍に上り、水面下での動きも活発化。ラピダスとその関連企業進出に伴う住宅ニーズの取り込みを狙ったものが多く、今後しばらく建設ラッシュが続きそうだ。

JR千歳駅から徒歩15分ほどの住宅街では、秋ごろから整地された空き地に建築計画の看板が多く立つようになった。いずれも用途は「共同住宅」。マンションの建設現場だ。
石狩振興局に提出された建築計画概要書によると、市内の4階建て以上の共同住宅は、22年度の10件に対し、23年度は年内までに15件あった。1棟当たり15~20戸の物件が目立つ。

ビル・マンション建築や不動産売買などを手がけるマーベラスホーム(千歳)によると、ラピダスが千歳へ進出表明した2月以降、数年に1件程度だったマンションの新築相談が「すでに複数件寄せられている」。小松八重子専務は「市内の賃貸物件は頭打ち感があったが、ラピダスの表明後、関連企業の需要も見込め、大きく様子が変わった」と効果を実感する。

“千歳特需”への注目は道内にとどまらない。15件のうち2件は、道内初進出となる不動産開発のウェルホールディングス(福岡)が担う。道内でのマンション建設を計画していたところ、ラピダス進出を受け、千歳市に決定した。来夏完成を目指して19戸と15戸の2棟を建設中だ。

地元九州では台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県菊陽町に工場を建設しており、「菊陽町を中心とした半導体産業の盛り上がりを実感した」と担当者。千歳はそれ以上とみて「手堅い需要が見込め、単身、ファミリー両方に対応できる2LDKを中心に展開する」と期待感を示す。

[北海道新聞]
2023年12月31日10:51
https://news.yahoo.co.jp/articles/27202861bc298a680b4c0f7ca3213c15c92c808a