新しい年を迎えたばかりの1月1日、石川県で最大震度7を観測した能登半島地震が発生しました。避難を余儀なくされた人の中には、ペットを飼っている人も少なくありません。

■能登半島地震・ペット避難の状況

石川県内で支援活動を開始した認定NPO法人日本レスキュー協会「被災ペット支援に関する活動報告①」によると、羽咋市(はくいし)と中能登町では、ペットを連れて避難所に避難した飼い主に対し、適切にペットの世話ができるよう行政の避難所担当者、飼い主、日本レスキュー協会の3者で避難所のペット受け入れに関する調整が行われました。
避難した飼い主は「ペットはダメと言われると思っていた。一緒にいられるだけでも本当にありがたいです」と話していたそうです。

(略)

■「同行避難」「同伴避難」の違い

ペットを理由に避難を躊躇しないよう、国はペットとの「同行避難」を推奨しています。

「同行避難」とは飼い主がペットと共に安全な場所まで避難するまでの行動を指し、「同伴避難」とは飼い主がペットと共に避難したうえで、避難所でペットを飼養管理することを意味します。

ただし、「同伴避難」を受け入れる避難所でも、飼い主とペットが必ずしも同室で過ごせるとは限りません。飼養環境は避難所などで異なります。
「同伴避難」が可能な動物は、犬・猫・そのほか家庭における愛玩動物とされていることが多いので、自治体の避難所運営マニュアルなどで自分の地域のルールを確認する必要があります。

国は2013年に「同行避難」を推奨する「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を策定しています。1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災では、飼い主がペットを連れて避難所に入ることを断られるケースが相次ぎました。ペットと共に自宅に戻り津波に呑み込まれた人や、避難をためらいペットを抱きしめたまま亡くなった人がいました。

熊本地震では、ペットを飼う被災者の多くが車中泊で避難生活を送っていたことが、熊本県が震災後に行った被災者アンケートで判明しています。

当時筆者が取材をした際には、ペットの存在を理由に避難をせず地震後に建物が倒壊して亡くなった人や、ペットと避難できず喪失感から生きる気力を失い自死した人もいました。飼い主の気持ちを考えると、犬や猫と共に暮らしている筆者にとっても他人事ではないと思いました。

こうしたことを受け、同伴避難に取り組む地域も出てきています。

(略)

ペットを家族の一員としてとらえる飼い主は多いですが、「同室避難」の意識はまだ浸透していません。
芸能人がその知名度をフルに活用して周知活動を行うことは、大きな効果が見込めます。

■すべての自治体で「同伴避難」を

ペットの存在を理由に避難しない、ペットと避難できず、喪失感から生きる気力を失うといった問題を解決するためには、「同行避難」と「同伴避難」が連動していることが不可欠です。

国が「同行避難」を推奨しているのであれば、自治体はその受け皿としての「同伴避難」を重要視し、その備えをしなければならないと考えます。

全文は
https://news.yahoo.co.jp/articles/f448c558fc8df874bd1084463b082480f63bc743

[東洋経済ONLINE]
2024年1月10日(水) 9:02