https://news.yahoo.co.jp/articles/421cbad60019d23d7e20979f716d216c07358ab3
 ロシアの詩人で、ウラジーミル・プーチン大統領に批判的なレフ・ルビンシテイン氏(76)が今月、モスクワで交通事故に遭い、死亡していたことが明らかになった。
同氏の娘が14日に公表した。
ルビンシテイン氏は旧ソ連の地下文学界の中心的人物で、プーチン大統領に批判的だった。

娘マリア氏によると、ルビンシテイン氏は8日、モスクワ市内で車にはねられて昏睡状態に陥った。6日後の14日に死亡したという。
「私のパパ、レフ・ルビンシテインは今日(14日)亡くなった」と、マリア氏はブログに書いた。

ルビンシテイン氏はソ連時代の、非公式な芸術運動「コンセプチュアリズム」の共同創設者として知られる。
この運動は1970年代から80年代にかけて、様々なかたちで芸術を用いて、ソ連時代の伝統的な規範を覆し、社会主義リアリズムの公式教義を批判した。
社会主義リアリズムとは、ソ連時代に台頭し公式化された芸術様式で、芸術を用いて政治アジェンダを推し進めるものだった。

2022年のノーベル平和賞を受賞したロシアの人権団体「メモリアル」は、ルビンシテイン氏を「震えるほど詩的で、洞察力の鋭い、皮肉さを兼ね備えた人物」と評した。
メモリアルはロシアで最も古い人権団体の一つ。
ロシア政府がウクライナ侵攻反対派への弾圧を強化したため、2021年12月に解散を余儀なくされた。

メモリアルが「親しい友人」と呼ぶルビンシテイン氏は、ロシア政府によるウクライナ侵攻や、LGBT(性的マイノリティー)の権利に対する政府の姿勢に、強く反対していた。
ルビンシテイン氏はこの2年間、「あらゆることがあったにも関わらず」モスクワに留まることを選んだと、同団体は述べた。
「(そうしたのは)彼自身のためだけでなく、ほかの人たちのためでもあった。自分たち自身を再び見出すための言葉を、そしておそらく、もしかしたら、
抵抗するための言葉を見つけようとしている人たちのために」と、メモリアルはソーシャルメディアに投稿した。