経団連が16日発表した2024年春闘の経営側指針「経営労働政策特別委員会報告」は、連合の闘争方針に「基本的な考え方や方向性、問題意識は多くの点で一致している」と理解を示す異例の内容となった。労使は今春闘がデフレ脱却の契機になるとの認識を共有しており、主要企業からは早くも高水準の賃上げ表明が相次いでいる。民間シンクタンクからは前年を上回る賃上げ予測も出ている。

 第一生命ホールディングスは平均7%、キリンホールディングスは約6%の賃上げを目指す意向を示している。みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は「物価動向も踏まえ、7%程度は目指したい」と語った。
 シンクタンクの日本経済研究センターが公表した24年春闘の賃上げ率予測は平均3.85%となった。民間エコノミスト36人の予測を集計して算出したもので、23年春闘の賃上げ率(3.58%、連合集計)を上回る見通しだ。
 内訳は基本給を底上げするベースアップ(ベア)分が2.15%、定期昇給分が1.70%。賃上げ率予測の最高値は5.0%、最低値は3.2%だった。
 一方、厚生労働省が公表した昨年11月の実質賃金は20カ月連続で前年割れとなっている。賃金の伸びが物価上昇に追い付いていないためで、連合の芳野友子会長は「物価高がすべて悪いわけではない。物価高に負けない賃上げが伴わないといけない」と指摘している。

時事通信 2024年01月17日07時05分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024011600901&g=eco