自民党の麻生太郎副総裁が今月の米国訪問時に、トランプ前大統領サイドと接触していたことが分かった。

 党関係者が17日、明らかにした。大統領選の共和党指名候補争いで優位に立つ同氏とのパイプ構築は、岸田文雄首相にとっても重要な課題になっている。

 麻生氏は9~13日の日程で訪米。ワシントンで講演などを行った。この際、トランプ氏に近い関係者と面会。さらに、ニューヨークで本人との接触を図ったが、大統領選に向けたアイオワ州での党員集会を控え、調整が付かなかった。

 バイデン政権下で、日本政府関係者がトランプ氏と表立って会うのは難しい。首相周辺は「麻生氏にお願いしたことはない」と語るが、大統領選の行方が見通せない中、麻生派中堅は「首相はパイプ役を期待しているだろう。首相経験者で適任だ」と意義を強調する。

 日本国内では、トランプ氏について「再登板すれば重大な不安定要因になる」(自民党四役経験者)と不安視する声が漏れる。政府関係者は「台湾に対する姿勢が見えない」と対中国で日本との足並みの乱れを懸念。ウクライナ危機を巡る国際連携や、日米同盟への影響を危惧する見方もある。

 2016年、当時の安倍晋三首相は大統領選の直後に、就任前のトランプ氏とニューヨークで面会。良好な関係を築いた。岸田首相も、麻生氏らの人脈を通じて水面下で意思疎通を図るとみられるが、周辺からも「うまく渡り合えるのは安倍氏くらいだ」との指摘が出ている。 

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