自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、二階派(志帥会)を率いる二階俊博元幹事長は19日、派閥解散を明言した。
この日、二階派(志帥会)でも、派閥の元会計責任者と二階氏の秘書が政治資金規正法違反の疑いで立件された。
二階氏は総会後に会見を開き、「派閥が悪かったわけでも、金をごまかしたわけでも何でもない」と語気を強めた。
◆「信頼を取り戻したい」
二階氏の記者会見は、東京地検の刑事処分が発表された後に開かれた。
二階氏は冒頭、「刑事処分を受ける者も出た。会長として責任を痛感し、心からお詫び申し上げる」と切り出した。

これまでの派閥運営については「政策集団として国土強靱化、観光立国、地方創生、平和外交等、さまざまな政策提言を行い、一定の成果を上げた」と意義を強調した。
その上で「派閥並びに私自身を含む所属議員の政治資金について収支報告書に記載漏れを確認した。私は政治への信頼を取り戻すためにこの際、志帥会を解散するという結論に至り、所属議員の了承を得た」と語った。
一方、派閥の元メンバーが集まる可能性を問われると「人は自然に集まってくるものだから。派閥解消だから、マスコミに文句言われるからあっち行け、とは言えないからね。そこらは自然体で、常識の範囲でやっていきたい」と述べた。
会見には、二階派の武田良太衆院議員、林幹雄衆院議員も出席した。
【記者会見の主な発言】
記者 不記載は認識していたのか。
武田氏 それぞれの議員には会計責任者がいて、作業について会計責任者に一任して任せている。詳細は把握しきれていなかった。
◆手が回らなかった
記者 不記載を知らなかったのか。
二階氏 いちいち金銭の出入りに対して、本来なら我々自らペン持つぐらいのつもりで対応しなければいけないことなんだろうが、いつもの日常の仕事に紛れて、そういうところまで手が回らなかったというのが反省点。今後こういうことのないようにしたい。
政治に対する信頼が一番大事だから、信頼失ったのでは政治にならない。
我々は真剣に取り組みたい。
林氏 すべて事務所のことは秘書に任せていたから中身は知らなかった。
武田氏 詳細について把握しきれていなかった。
◆「なぜ解散」の声も
記者 出席者から解散についてどういう意見があったか。
林氏 様々な意見があったが最終的には会長の決断についていくというのが大勢。
二階氏 なぜ解散しなければいけないのか、とか意見があったが、最終的には会長に従うと。
記者 二階氏はどんな言葉で説明したか。
林氏 このような事態に至ったことに責任を痛感しているということから、志帥会解散を諮りたいということから入った。
◆岸田首相の「解散検討」発言、影響は?
記者 岸田首相が岸田派の解散に言及した。影響は。
二階氏 影響はないといえば嘘になるが、岸田さんから相談受けたわけでもアドバイスあったわけでもない。岸田さんの政治的方向に何でも追随していくというわけでもないし、我々の判断だ。
記者 なぜ起きたのか説明する場を設けるか。
武田氏 まずは実態に対する調査をしっかりやっていく。その上で総括もやっていく。
◆派閥が金をごまかしたわけではない
記者 派閥には人材育成などの機能もあった。解消した後も集まることは考えているのか。
二階氏 人は自然に集まってくるものだから。派閥解消だから、マスコミに文句言われるからあっち行け、とは言えないからね。そこらは自然体で、常識の範囲でやっていきたい。別に派閥が悪かったわけでも何でもないんだもん。派閥が何か悪いことしたり金をごまかしたりしたわけでも何でもないんだもん。
記者 会長秘書が起訴された。責任どう考えているのか。
二階氏 地元の同志でよく相談して決める。
記者 自民党にとって派閥はどういう役割だった。
二階氏 まず一点は、国会対策を議論する場でも300人みな集めて会議するのは容易なことではない。同じ思いというか志、自民党の議員であっても政策のウェイトとか、そういう面で違う動き、方向を向いている人がいるでしょ。派閥は、この中は居心地良いなというところにみんなが自然に行くとか。派閥で人材を取り合いしたり、そんなことはない。
記者 党役職はどうするか。
林氏 別段今は考えていない。
   ◇
二階派と所属議員の政治団体は18日、2020~2022年の3年分の政治資金収支報告書を訂正した。
二階派の収支報告書によると、3年分のパーティー収入計1億3614万円が不記載となっていた。
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東京新聞 2024年1月19日 19時24分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/303834