自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会)は19日の議員総会で解散することを決め、約45年の歴史に終止符を打った。保守路線をリードしてきた同派の消滅により、憲法改正や安定的な皇位継承を巡る議論の停滞を懸念する声が上がる。党所属議員の約4分の1を占めてきた巨大派閥の解体は、自民の〝地殻変動〟を引き起こしかねない。

「責任を明確にした上で、(安倍派を)解散することも速やかに決めるべきではないかとわれわれの中で一致した」。清和会を創設した福田赳夫元首相の孫で、同派に所属する福田達夫元総務会長は19日、派内の若手有志と意見交換した後、記者団にこう述べた。

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19日の議員総会は当初、派閥のパーティー収入不記載事件の対応協議にとどまるとの見方が大半だった。ただ、岸田文雄首相(党総裁)が岸田派(宏池会)の解散を表明したことで空気が一変。安倍派の若手・中堅を中心に「わが派こそ率先して解散すべきだ」との声が強まった。

安倍派解散の影響は小さくない。派内には憲法改正や皇位の伝統的な男系継承に前向きな議員が多く、自民を支える「岩盤保守層」をつなぎとめる役割も果たしてきた。自民関係者は「こうもあっけなく名門派閥がなくなるとは衝撃だ」と言葉少なに語る。


安倍派は昭和37年に福田元首相が立ち上げた「党風刷新連盟」を起源とする。派内から森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫と4氏連続で首相が輩出した。

会長を務めていた安倍氏が令和4年に死去して以降、松野博一前官房長官ら「5人衆」と呼ばれる実力者らによる集団指導体制を敷いていた。(竹之内秀介)

産経新聞 2024/1/19 22:10
https://www.sankei.com/article/20240119-NLCZUBO3MFLLNK5C6L6RPYK7XY/